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読書ノート①ミヒャエル・エンデ「モモ」要約2021.02.03~04

印象に残っている部分
 死を恐れなければ、人が時間を奪われることはない

要約
 ある町の片隅、廃れた劇場にモモという女の子がやってきた。その子は見た目は綺麗とは言えないが、人の話を注意深く聞くことができる女の子だった。そして、周囲の人々(モモの友達である掃除人ベッポとガイドのジジと劇場へ遊びに来る子供たち)はモモに話を聞いてもらうことで、心が落ち着き、争いを治めることができたり、想像力を拡張し面白い話をすることができたりした。「モモのところに行ってごらん!」困ったことがあるとき、皆こう言った。皆お金持ちではなかったけれどモモと共に幸せに暮らしていた。
 しかしモモたちが知らないうちに、異変が起き始めていた。都会で灰色の男たちが出現し、彼らは時間貯蓄銀行というものを作り始めていたのだ。彼らは奪った時間によって命を得ている。狙った人物に時間を節約させ、当人の気付かぬうちに時間を奪うのだ。時間を奪われた人に起きた変化は、例えば美容師であれば、それまではお客さん一人一人に時間をかけて会話をしながら丁寧に髪を切っていたが、時間を節約するようになると必要最低限の会話しかしなくなって以前の仕事の丁寧さも捨てるようになった。皆気持ちの余裕が無くなり、笑顔も無くなり、優しさもなくなり、街は様変わりしてしまった。ところがこの異変に気づく都会の人はいない。
 ある日モモはこと灰色の男たちの計画を知り、計画に対抗すべく仲間と共に大人の人々にこの計画が勧められていることを知らせようとしたが、失敗に終わった。それは大人たちによく見える形で知らされたが、大人たちはすでに灰色の男たちに洗脳されていたがためにそれに気がつくことはなかった。
しかしこのことを機に灰色の男たちはモモを危険人物として捕らえようとし始めてしまった。
 モモの目の前にカシオペイアという名の小さなカメが現れた。話すことはできないが、甲羅に文字を浮かび上がらせることで意思疎通ができる。カシオペイアは灰色の男たちからモモを逃れさせるように、モモを時間を司るマイスター・ホラという者の元に導いた。マイスター・ホラはモモに時間の仕組みや時間の花について教えた。時間の源が素晴らしく、これについて友人たちに話したいというと、気がついた時にはもう古びた劇場に戻っていた。
 モモは友達を幾日も待った。しかし誰一人としてモモの元に来るひとはいなかった。それは、灰色の男たちがモモのいないうちに今までの思いやに溢れた世の中を時間節約の世の中に変えてしまったからだ。友達もその世の中の仕組みに組み込まれてしまったのだ。

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