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ふんわり感想文
今回は、森鴎外の青年(新潮文庫出版)を読んだ。前回のように断捨離で出てきた古い本。意外と状態は良く、気になるのは紙の黄ばみくらいでした。それも味になっていい本だった。
まずはあらすじ。主人公の小泉純一は田舎から東京に出てきた学生、性格は今で言うなら物静かで生真面目。純一が劇で出会った未亡人の奥さんに翻弄されていくと言うはなし。
読み終わって率直な感想は、なかなか踏み切らない純一がもどかしいと言うことだ。純一の周りには未亡人の奥さん、芸者のおちゃら、宿屋で一緒に泊まった名も知らぬ女性。様々に恋愛のとっかかり、今で言う恋愛フラグが多くあるのにも関わらず、純一が潔白でいようと心がけるばかりに、相手の思惑を考えすぎるばかりに何にも発展しないのがもどかしいところであった。最後までそれが続くから尚更だ。
ただ、最後の純一には同情できる。自分を正月にわざわざ鎌倉へ誘っておきながら、別の男と一緒の宿で泊まっている奥さんの考えは気がしれない。純一は嫉妬に似た気持ちと何度も書いているが、僕が思うにそれは嫉妬だ。
文体が今とは異なるため少し読みずらいところがあったが、当時の恋愛観や若者ならではの葛藤を巧みな言葉回しで表現しているのはとても面白かった。
最後に、この本の中で一番残っている言葉は「Antigeishaisme」だ。ぜひ読んで見つけてみてほしい。