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保育園戦争は妊娠中から始まっていた。
産休に入って、お腹が大きくなりすぎる前にやろうとしていたことの一つが、市役所に行って保育所の状況を聞くことだった。
実際に市役所に行ってみると、妊娠中に来ておいてマジで良かったーーーと思ったので、書き残しておきたい。
さぼてんの基本情報
まずは、私(さぼてん)の基本情報についてお話したい。
住まいは、東京に通勤する人たちのベッドタウンで、妊娠しているのは第一子。
私も夫もフルタイム勤務で、私は子どもが1歳になるまでの育休を会社に申請している。
出産は10月予定なので、来年の10月から保育園に入れたいと考えていました。
いざ、市役所へ
ネットで調べると、妊娠中に保活が必要なのはたとえば秋生まれで4月入園を目指すとかそんな人って書いてあったので、正直私はまだ早いのかなと若干ビビっていた。(市役所とか行ったことないので人見知り発揮)(なんで来たの?とか思われたら怖い)
でも正直ホームページを見てもちんぷんかんぷんだし、待機児童がいるようなら4月入園(来年でも再来年でも)も視野に入れなきゃいけないなと思っていたので、一度10月で入れるもんなのか、やっぱり市役所の人に直接聞かんとと思い…
意を決して市役所に。
エレベーターを降りて保育課のあるフロアに降り立つと、子連れのパパママがたくさん窓口で話していた。
おーーーん…妊娠中の人はいなさそうだ…
早速若干の場違い感を感じたが、発券機の近くにいたおばちゃんに「あ、あの、保育所の相談をしたくて…まだ申し込みとかではないんですけど(重要)」と伝えると、あっさり発券してもらえた。人がたくさんいたわりに5分もかからず呼ばれる。
「どうぞー」と迎えてくれたのは、保育課のOさん。ご自身も子育てするパパとのこと。心強い。
「まだ全然何もわからないんですけど…10月出産で、育休は1年を考えています」とモゴモゴ言うと、パッと私の状況をメモったOさんは
「1時間位時間もらえれば、1からご説明しますけど…」
とのこと。まじか。ありがてえ。
そして私はたっぷり1時間半も話を聞くことになったのだった。
年度途中の入園はまず厳しい
まず最寄駅の名前を告げると、「そこは一番の激戦区」と苦笑いされた。
東京にアクセスのいい最寄駅は共働き世帯も多く、私のように妊娠中に市役所まで話を聞きに来る人も多いそう…
「年度の途中で入園することは、まず難しいですね」
とOさんは言い放った。
ですよねー…ちょっと薄々思っていました…
ということは、来年4月の入園か、再来年4月の入園を目指すことが現実的となりそうと言うことが分かり、「1年くらい休んで復職したい」という私のぼんやりした願望は早々に打ち砕かれることとなった。
しかも、駅周辺は激戦なのでちょっと足を伸ばすことも視野に入れたほうが良いらしい。(一駅行けば、大きな公立保育園もある)
呑気に来年、市役所に来ていたらまず知れなかったことだろう。
まず、今のうちに市役所に来ておいてよかったと思ったポイントの一つだった。
Oさんが教えてくれたタクティクス
その次に説明してくれたのは、点数の説明。
「これが、みんながよく騒いでる噂の点数…!!!!」
どんな仕組みなのか、かねてから知りたいと思っていたので、若干身を乗り出し気味で聞いてしまった。
これは、あくまで私の住んでいる市の話。で、ごく普通の家庭が該当する項目だけ説明してもらった。
まずは月の労働時間で夫婦の点数が決まる。2人ともフルタイムなら、ここはマックスで10点×2。
育児休暇明けならプラス2点。
次に、祖父母が近くに住んでいるか…
これも全員遠方に住んでいるならマックスで1点×4人。
これで合計26点。
「でもね、(最寄り)駅に住んでる人は、大体ここまで横並びです」
と苦笑いするOさん。
私の脳裏に横並びでレースを走るワーママ&パパの姿がよぎる。
ライバルがいっぱいだぜ…
でも、そんなに同点の人が多い場合はどうやって入園できる人を決めるの?
「そこで、同点調整です」
Oさんが、プリントの下の表を指さす。
同点の人が多数いる場合、抽選も先着順もできないので、その他の事情によって調整が行われるとのことだった。
10個くらい調整項目がある中で、ごく普通の家庭が周りと差をつけられるのが「待機期間」。
つまり、保育園に申し込んで落とされ、待機していた期間が長いほど、ポイントが高くなるのだ。
でもここで落とし穴があって、保育所の申し込み書の中に「直ちに復職を希望する」「希望保育所等が利用不承諾であれば育児休業の延長も許容できる」という二つ欄があるんだけど、ここで「直ちに復職を希望する」にチェックをしないと、落とされても待機期間にカウントされない。
「育児休業の延長も許容できる」はやんわり言っているけど、つまりは「落としてください」と言うこと。育休を延長したい人が不承諾通知を得るためにチェックする欄とのことだった。これは待機とは見なされないのだそうだ。
これも市役所に話を聞かなければバカ正直に答えていたと思うので、マジで聞いておいてよかった〜〜と言う感じ。
激戦区の我が最寄り駅。少しでも早く「直ちに復職を希望する」で申し込みをしておいて、待機時間を稼いでおくことが、希望園に入る近道と言うことだった。
自分の望み通りには行かない。保育園戦争は運ゲー。
だったら、たとえば再来年の4月に入園を目指す場合、来年5月に「直ちに復職を希望する」にチェックをして提出しておけば、11ヶ月分の待機期間が貯まるので、楽勝と思われるかもしれない。
確かに、Oさんは「年度途中での入園はまず難しい」と冒頭に話した。
でも、だからと言って入園の可能性はゼロではない。引越しなどで定員が空けば入れてしまうリスクもあるのだ。
1年取ろうと思っていた育休が、たとえば7ヶ月で突如終わってしまうリスクもある。
つまり、私にいつ復職できるか選べる余地はない。運ゲーなのだ。
そこで、第10希望まで希望園を書ける中、わざと待機人数の多い保育園だけを書いておいて4月まで落ち続けることを狙う人もいるそうだけど、私がOさんに勧められたのは「もう復職していいな、と思えるタイミングで申し込みを始めること」。
そして、「心から希望する園を決めておいて、そこだけを書き続けること」。
「特に希望しない園を書いていても、入れてしまう可能性はゼロではないです。それなら『ここなら預けてもいい』と思える園を見つけておいた方が、想定より早く入れたとしても、『ご縁があったから』と踏ん切りがつくと思うんです」
なるほど〜〜〜〜
確かに、復職のタイミングは天に任せるしかない。
でも希望する園は私が決めることができるんだ。
保育園戦争で、私が自由に決められる余地のある数少ない選択肢。
きちんと保育園を自分で選んで「ここなら安心して(親の負担も少なく)子供を預けられる!」と思えるのなら、万一想定より早く入れてしまったとしてもあくまで「自分が決めたこともある」とある程度納得できる材料になるのかもしれない。
保育園戦争のスタートラインに立って思ったこと
まず思ったのは、待機児童は減りつつあるとはいえ、自分の思い通りになるわけではないと言うこと。
私は子供が1歳になるまで育休を取りたいと思っていた。
と言うのは、ぶっちゃけ転職してキャリアアップしたいと言う思いがあるからだ。
育休明けにすぐ転職するのはなんとなく周りの目が厳しそうだし(中小企業なので、私が育休を取得するにあたり多いに配慮いただいた)、2人目のことだって考えたい。
と思うと、次の子供を考える前になるべく早く復職してある程度働いて、転職する時間が欲しいのだ。
でも初めての子供の成長を見届けられないのも寂しい…
そう考えると、自分的に育児と仕事のバランスが取れるのが1年の育休だった。
しかし、自分の希望通りにできるほど現実は甘くないことがわかった。
出産をすると、自分が思い描くキャリアは実現しづらい(特に女性)と思い知る。
まだまだ子育てしづらい社会だなとつくづく感じてしまった。
(理想を言うと、来年10月に保育所入れなかったら夫が半年育休取ってくれないかなと思ったりする…なんで女が育休取るのが当たり前なんだろ…)
(でも会社の目が厳しいのもわかる。男性が育児に参加することがもっと当たり前の社会になって欲しい)
私はキャリアを貫く!子育てを貫く!って割り切れたら良いんだけど、どっちもやりたいと思ってしまう。欲張りなんかなー…
妊娠してから、私の頭の中では二つの重さを測る天秤が常に揺れているよ。
今回市役所の話を聞いて、10月入園をとりあえず脇に置いて4月入園を考えるとすると、まず選択肢として上がるのは来年4月の入園だ。
再来年の4月入園となると1年半の仕事のブランクが生まれてしまう。それは正直長すぎる。
第10希望まで園を書けば、どこかしらかに入れる可能性は高い。
でも、そうすると申し込み期限は12月上旬なので、1ヶ月検診が終わったら速攻保育園見学に行って、書類を整えて提出するという超ハードスケジュールとなってしまう。
確かに来年4月に入園してしまえば、さっさと復職できるし、転職したり2人目を考えるタイミングも早めることができるかもしれない。
でも4月に入る時、我が子はわずか5ヶ月。
やっと育児に慣れてきた頃だろうに、保育園に預けて育児と仕事を両立できるのか、育休を取れば出会えたでろう瞬間に出会えなくなる覚悟を決めることができるのか、今の時点では正直自信がないのだった…
今のところの結論としては、来年4月の入園を一旦見送って希望園を見定め、夏頃とか、ワンチャン復職できそうと思えたタイミングからぼちぼち申し込みを開始してゆるく入園を目指すこと。(再来年4月まで入れなかったとしても、希望園に入るための待機時間を稼いでいると思えるし!)
加えて、万一出産してからやっぱり来年4月に入れたい!となった時のために、今から保育園の情報収集とかは少しずつ始めておこうかなと思う。
みんな、妊娠中に市役所行った方がいい!!!
Oさんは、帰り際に「妊娠中にわざわざ聞きに来てくれてありがとうございました」と言ってくれた。
こちらこそ、お昼休みにどんかぶりの時間に1時間半も妊婦に時間割いてくださりありがとうございますの気持ちだ。私だったらお腹空いて内心キレている。
何を言いたいかというと、役所っていうのは無機質に見えるけど、予想以上に熱心にサポートしてくれるということ。税金払ってんだからこれを利用しない手はない。
若者は地元の中学高校を卒業すれば、出産するまで行政にお世話になることはあんまりない。引越しするときに転入届出しに行くくらい。自分の市の市長が誰なのかも知らない。
でも一歩足を踏み出せば、行動した分だけいいこともある。
次からは、保育課に直接電話してOさんの名前を出せば、分からないことは教えてくれるらしい。窓口に行きたいときは、時間を合わせてくれるという。
妊娠中からこんなに心強い仲間を得られるなんて!絶対に行った方がお得。
一方、隣の窓口で話していたお母さんは、小さい赤ちゃんを抱えながらお話を聞いていて、大変そうだった。
だから、まだお子がお腹にいる妊娠中がチャンス!そしてお腹が大きくなりすぎない産休の前半が大チャンスだよ!!
情報を取りに行かないと得られない行政の仕組みに疑問は抱きつつ、それでも今はそういう仕組みになっているのは仕方ないので、みんなぜひ保育園のことで少しでも不安に感じているなら、妊娠中に市役所に行った方がいいよ!!と思った。