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2ヶ月で母乳育児を諦めつつある話【後編】

この記事で完結したい。
母乳育児を諦めつつある話。

前編・中編はこちらから

帰省してもおっぱい痛くて泣く

帰省しても、私は頑なに2時間ごとの授乳を続けていた。祖母と母が娘を抱いてくれて体力が温存される分、母乳も頑張れば軌道に乗せることができると思っていた。

ミルクをあげる前に、まずはおっぱい。そのままの姿勢で30分。

右の乳首が痛くなったから、まずは左から授乳。やっと右が治ったと思ったら今度は左が痛くなる。帰省しても私の精神状態が安定することはなく、「おっぱい痛い…」とやはり泣きながらおっぱいをあげる日々だった。
挙げ句の果てに、泣き叫ぶ娘を抱いた祖母には「もうおっぱい出ないの?」と言われて大ダメージ。

休みの日に実家に泊まりに来た夫は、そんな私を見かねて「ミルクでもいいんじゃない?大人になってから『オレ、完母だったんだぜ』って自慢する人もいないだろ」と言ってくれた。

確かに……

私自身も、自分が出産して母に聞くまで自分が母乳で育ったのかミルクで育ったのか知らなかった。母乳が赤ちゃんにとって最高の栄養であることは間違い無いんだろうけど、それくらい本人の人生にとっては「どうでもいいこと」なのだ。

とは言っても、この時点で私の思いがゆらぐことはなかった。
やっぱり母乳育児がしたい。と実家に近い母乳外来を調べた。自宅に帰ってから行った方がいいかと迷ったけど、乳首がとにかく痛すぎて、今すぐ見て欲しいと思ったのだ。

母がすすめてくれた大病院の母乳外来には「出産した人しか受け付けていない」と断られる。紹介された他の助産院は、実家から歩いて15分。駅の向こう側。まだ1人でベビーカーを押して人混みが多いところを長時間歩くのは不安だった。

料金は、初診料込みで8000円。

ミルク缶、四つ買えるやんけ。

ここまで来てやっと私は、突然全てが面倒くさくなった。ここまでして母乳育児続ける必要、あるんだろうか?

そして最後の背中を押してくれたのは、誰かのブログだった。

母乳、やめてもいいよ

娘が寝たある日の深夜、私は何となく検索窓に「0歳 いつ楽になる」と打ち込んだ。

すると、有難いことにまさにどんぴしゃなブログが出てきた。月齢ごとにどれだけ大変だったかが記されている。

4ヶ月は「結構楽」とのことで、あ〜この大変さは永遠には続かないのねと安心しながら読み進めると、生後2ヶ月のところに「混合から完ミしたのもこの頃でした」との記載。

え、2ヶ月で母乳やめていいの…???

初めて、母乳をやめるという選択肢が浮かんだ瞬間だった。
母乳が出るなら何がなんでも続けなければいけないと思い込んでいた。

確かに、完ミにすればこの授乳間隔の短さからもおっぱいの痛さからも解放される。授乳が怖いと思うこともない。ミルクだけでいいのなら、授乳時間は精一杯娘を愛でることができる。

さらに言えば、お酒も飲める。コーヒーも飲めるし、ピルも飲める。

急に完ミにしたときの生活の素晴らしさで私の頭の中はいっぱいになった。

次に私は、検索窓に「2ヶ月 母乳やめる」と打ち込んだ。

すると数は多くはないものの、早い段階で断乳した人たちの声が出てきた。乳腺炎を繰り返す。職場復帰。それぞれに色んな事情があった。その中に「乳首が痛い」という人がいた。

私と一緒だ。

自分だけじゃないって思えた。母乳が出ても、病気になった訳じゃなくても、「乳首が痛い」っていう理由でやめた人がいるんだ。

なんだ、やめていいんだ…

もう、母乳メインの混合を目指すことはやめよう。

そう思えた。毎回おっぱいあげなくていい。ミルクあげよ。

次の日から、何回かはおっぱいではなく全量ミルクをあげてみた。授乳は30分もせずに終わった。しかも、次の授乳は3時間後。めっちゃ休める。

元々そんなに張る方ではないのだけど、時間があいておっぱいがあまりに張る時は搾乳した。久しぶりに搾乳したら80mlも取れて、「ほんとにこんなに出るようになってたんだ……」と驚いた。
我ながら頑張った。退院時には2グラムの女だったのに。搾乳器を洗う手間はあるけど、吸われる恐怖と比べたら全然楽だった。

おっぱいが張ってる時なら吸わせてもそんなに痛くないので、朝方などは直接吸わせた。

いつが最後になるか分からないので、今のうちに動画で記録。必死だったときには中々見れなかったけど、一生懸命おっぱいを吸ってくれる、もごもご動くほっぺたは本当に可愛い。
これで、いつか娘が反抗期になってもこの瞬間を思い出すことができるので安心である。

精神的にとても楽になったので、それからはミルクにしたりおっぱいを吸わせたり、おっぱいの張り具合や自分の気持ちで選ぶようにしている。

おっぱいが出るうちはゆるーく母乳育児を続けていこうと思う。気持ちに余裕があれば、寝かしつけに便利なおっぱいの偉大さにも気づく。

でもおっぱいをあげる回数を減らしたので、きっと次第に母乳は出なくなっていくだろう。ちょっと寂しいけど、これからはもっと笑顔で育児ができる気がする。

小さな娘、一緒にいっぱいおっぱい練習してくれて、ありがとう。
欲しがってくれて、飲んでくれてありがとう。
お母さんとしての幸せを味わせてくれてありがとう。

もう少しだけ、一緒におっぱい楽しもうね。

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