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『稲盛和夫一日一言』 7月11日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月11日(木)は、「人生も経営も一人旅」です。

ポイント:人生というのは、ただ一人の旅。生まれるときも一人なら、死ぬときも一人、誰もついてきてはくれない。突き詰めれば、誰もが一人きり。自分の力で歩いていくしかない。

 2015年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第2巻 私心なき経営哲学』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、人生の目的、意義について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 ここ二日間、盛和塾全国大会において、素晴らしい経営体験発表を聞かれ、皆さんも生きる意味といったものについて思案をめぐらされたかと思います。
 私にとって人生とは何なのか。私は何のために生まれてきたのか。私は何をするためにこの世に生を享(う)けたのか。私自身、若いことからそのような自問自答を繰り返してきました。

 私は、経営者である皆さんに「一生懸命仕事をしなさい」と言い続けています。しかしそう言われても、そう簡単にはうなずけないでしょう。
 なぜなら、「自分の人生は一生懸命仕事をするためだけにあるのか。自分は苦労するために生まれてきたのか。もしかしたら、本当はもっと楽しくて愉快な人生をおくるために生まれてきたのではないのか?」と思い迷うこともあるからです。

 ですから、自分にとって人生の目的は何なのか、人生とはどういう意義を持つのかということを、誰もがクリアにしておく必要があるのです。
 私たちは生まれも違えば、その後現在に至るまで育った環境も違い、それぞれ違う人生を歩いてきています。
 しかし、それぞれの人生の目的は何かということを明確にしておくことは、誰に取ってもたいへん大事なことだろうと思いますので、その問いに対する答えについて、少し抹香(まっこう)臭くて賛同しかねるという方もおられるかとは思いますが、少しお話ししてみようと思います。

 人生に対する一つめの考え方は、人生は魂、またはその魂の本質である真我(しんが)の浄化、純化、深化を成し遂げるためにこの世に生まれてきた、というものです。私は、これが最も正しい、人生の目的、意義の解釈だと思っています。

 一般に私たちは、人生とはたった一回しかないものだと思っていますし、またそう思おうと努めています。
 私自身はこの表現が好きで、第二電電を設立したときも、「目の前にある、この素晴らしい千載一遇のチャンスに向かって、たった一回しかない人生を、悔いのないように燃やしてみようではないか」と言って、皆の魂を揺さぶり、力を結集させました。

 仏教では、私たちの魂、もしくは真我は「輪廻転生(りんねてんしょう)」を繰り返す、と説かれています。しかし、過去世(=前世)の記憶は持たないままこの世に生まれてきますから、今まで何回現世に生を享けたのかは誰にもわかりません。そう考えると、この現世において、輪廻転生を繰り返す魂を磨くことに自分の人生の目的がある、とは考えられないでしょうか。

 二つ目の考え方は、人生とは「世のため人のために尽くすためにある」というものです。魂、真我を浄化、純化、深化させる方法はいくつかあり、仏教には八つの行があります。その中で最も大事なのが「善行を積む」、つまり「利他行」、もっと簡単に言うと、「世のため人のために尽くす」ということなのです。

 なるべく大きな規模で考える、つまり自分の卑近な幸せではなく、全人類というようなグローバルな規模の愛に目ざめ、その幸せを祈る。そのような行為はまさに「世のため人のため」の行いであり、魂の浄化、純化、深化につながっていくものです。

 いずれでも構わないのですが、自分の心の中で生きる目的を明確にすることで、何をするにも迷いがなくなります。その目的に合致した生き方をすればいいのだと考えて判断することで、迷いのない確信に満ちた人生を歩くことができるようになるのです。まさに不動の人生を確立できるわけです。(要約)

 今日の一言には、「どうすればいいのか、と常に人に聞いているようでは、自分の人生を歩いていけない」とあります。

 世の中には、自分の人生の目的を見失い、刹那的な判断に身を委ねて毎日を過ごしている人も少なからずいるように思います。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「人生の目的を求める」の項で、名誉会長は次のように説かれています。

 「安易な」生き方は、はじめは気楽で楽しいかもしれませんが、結局はそれでは満足できず、みんなもっと高いレベルの目的を求めるようになるはずです。

 時代がどう変わろうと、人間の本質はそう変わりません。誰しも、人生で善きことを追求し、後世に何か価値のあるものを残そうとするものです。
 心の奥底では、「世のため人のために役立つことができて、自分の人生は幸せだった」と思えるような満ち足りた人生をおくることを望んでいるのではないでしょうか。

 このような考え方に同意されない方もおられるとは思いますが、私はそのような真剣な生き方をしていきたいと心から思っています。(要約)

 お釈迦様は、人生を「旅」、私たち人間を「旅人」に例えて、「人生は一人旅だと覚悟ができた人こそ、悟った人と言えるものだ」と説かれています。

 「人生=修行」
 寿命があるうちに「悟り」を得ることなどできないでしょうが、自分の人生に対する考え方を明確にして、心に刻み込んで生きていきたいものです。


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