長谷部誠の引退
俺のヒーローのような人だ。
本田圭佑や香川真司のようなスター選手と比べると、もしかしたら知らない人もいるかもしれない。
ただ、キャプテンとしてサッカー日本代表を率いていたその誠実さと生真面目さは、日本男児のお手本だと思う。
羽鳥アナウンサーのような安心感がある。
35-40歳で海外の第一線でプレーするというのは、一流選手でも相当難しい。
そんな年齢でも度々活躍をニュースで見れて嬉しかった。
長谷部選手の著書での言葉を要約してみる。
僕にとってのストロングポイントは、組織に足りないものを補うことだ。
目立つためのわかりやすい武器はないかもしれないけど、組織の成功と自分の成功が一致するように自分を変えていく。
かっこいい考え方だと思った。
圧倒的な個性を持った人でも、それを支えたり、補う人が必要なのは、サッカーでも実生活でも同じだろう。
自分はそんなに目立ちたいタイプではないから、一つの生き方の指標を教えてくれたようだった。
もう一つ強烈に印象に残っている一節がある。
「最悪の状況を想定する習慣がある」
2010年南アフリカW杯。
ベスト16でパラグアイと対戦をするのだが、1-1で延長戦を終えてPKになる。
日本は、駒野選手が蹴ったボールがバーに直撃し、敗退が決まった。
このシーンは、小学校4年生の俺には衝撃的に悲しかった。
泣き崩れる選手たちの中、長谷部選手だけは、冷静だった。
最悪を考えることは、悲観主義者と思われるかもしれないけど、
「失敗するかもしれない」と弱気にためではなく、何が起きてもそれを受け止める覚悟があるという「決心を固める」作業になる。
こう語った。
失敗ばかりを恐れていた当時の俺は、少しだけ心が楽になった気がした。
悪いことを想定するのは、悪いことじゃない。
むしろ最悪を受け止める心を整えることだ。
小学校6年生の俺は、本といえば読書感想文のために読むような子供だった。
最初は、惰性で手に取った。
長谷部選手の著書「心を整える。」を題材に書いた読書感想文は、住んでいた地域で入賞した。
派手な生き方ではないかもしれないけど、等身大で、人間味のある、かっこいい文だったと思う。
"それから本にハマった"という美談があれば格好がついたかもしれないがそうもいかない。
ただ、子供の頃ほとんど本を読まなかった割には、長谷部選手の本の内容はよく覚えているし、今の自分を形作っている言葉たちだった。
俺の少年時代の日本のキャプテンだったから、
やっぱり世代だし、めちゃくちゃかっこよかった。
たくさんの興奮と感動をありがとう。
現役生活お疲れ様でした。
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