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歴史小説!①

歴史小説

はじめに

 時間が空いてしまいました。私的50選(前の投稿!)をベースに歴史小説を語ります。ネタバレダメな人は一応気をつけた方がいいかもしれません。

紹介

○「項羽と劉邦」

「項羽と劉邦」 司馬遼太郎
 横山光輝「三国志」で育ち、中国史に惹かれて今まで過ごしてきました。新書や伝記で真面目に勉強するのも良いですが、原点となるフィクション、小説には、特別に心を惹かれます。
 個人的な始まりはやはり司馬遼太郎でしょうか。小学校高学年の時に父の蔵書から引っ張り出してきて、挫折しつつ「竜馬が行く」「燃えよ剣」「世に棲む日々」あたりを読み、出会ったのが「項羽と劉邦」。序盤からスイスイと読め、2人の英雄、その周りの人物の面白さに驚きました。
 「坂の上の雲」に代表される司馬史観についてはいろいろな意見がありますが、個人的には「項羽と劉邦」はそういった雑音とは関係のないところにいることもポイントの一つかもしれません。エンタメとして面白く読める作品だと思います。

○「蒼穹の昴」シリーズ

「蒼穹の昴」シリーズ 浅田次郎
 再びの中国史。また違う魅力がある近代史です。この時代の中国、驚くほどに面白い。本作は、清朝末期に始まり、満洲国建国に至る激動の時代を描いた作品。「蒼穹の昴」の時点では2人の主人公を軸にし、あくまで中国史を背景とした小説、という印象ですが、「中原の虹」になると、舞台となる時代そのものが音を立てて動いていくかのような疾走感。加えてとにかく素晴らしいのは張作霖の造形でしょう。クライマックスでの彼の姿は必見。これに続く「天子蒙塵」もすでに出ていますが、個人的なシリーズ中の白眉は間違いなく「マンチュリアン・リポート」。「中原〜」と「天子〜」の間に位置する作品ですが、題材は張作霖の爆殺。語り手は彼が乗っていた汽車。もう面白い。呼んでください。頼む。

○「水滸伝」シリーズ

「水滸伝」シリーズ 北方謙三
 さらに中国史。といっても、こちらはフィクション味の強い活劇的な小説と言えるでしょう。舞台は原典水滸伝に同じ、宋代。108人の英傑が、替天の志を胸に梁山泊に集う(訳ではない)。言わずと知れた、北方先生が描くハードボイルドが遺憾無く表現されている作品でもあります。リアリティにより食い荒らされることのない歴史小説という舞台で、「漢」が際立つ。
 楊志というキャラクターがいます。名門の血を引き、万の軍を率いる才覚があると目されていた英雄。彼が率いる梁山泊本軍が、朝廷の討伐軍に相対する姿を見たい。
「水滸伝」「楊令伝」「岳飛伝」(ついでに言えばその前に「楊家将」「血涙」、その後に「チンギス紀」)と続く、これぞ巨編と言っていいボリューム感ですが、貫くものは変わらない。

終わりに

ここで力尽きました。次回、第二弾、

「楽毅」 宮城谷昌光
「のぼうの城」 和田竜
「唐玄宗記」 小前亮
「神の棘」 須賀しのぶ
「泣き虫弱虫諸葛孔明」 酒見賢一
「沈黙」 遠藤周作

をお届けしたいと思います。呼んでいただいた方はありがとうございました。


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