おせち
おせちですが、お待たせしました10年ぶり3回目の入院です。
さて、結核で入院してから10年ほどの年月が流れ、子供達も高校生と中学生になっておりました。
そんな平穏に続いていたある日、毎年恒例の人間ドックを受けたんです。
ウケる。
でも普通は人間ドックって採血とかされるじゃないですか、バリウムとか飲んで無茶な体勢を取らされたりするじゃないですか。
その日も連邦の白いヤツが出まくっていたんです。
そしたらですよ、レントゲンで肺にバイオ粒子反応があったと連絡が入ったんです、虚いでる影があるっていうんです。
いやもう肺に影があったっていうなら、もうアレを想像妊娠じゃないですか、思わず生命保険の契約を確認しちゃうじゃないですか。
大病院で診てもらえって言うんで、古巣の息子アタック胸膜炎で入院していた病院に行ったんです。
そんでレントゲン写真とか見てもらうじゃないですか、私も良い歳なんでアレかと思ってドキドキじゃないですか。
そしたら、どうやらアレじゃなさそうなんです。
影の付き方が違うそうなんです。
採血も大量にしたんで結果が出てきたんです。
そしたらですよ。
「カビですね」
「は?」
もうね、は?としか言えないですよ。
普通、肺にカビなんて生えますか?
それが生えちゃってるそうなんです、繁殖しているみたいなんです。
確かに我が家は密閉性の高いマンションです、カビも窓際に生えてます。
でも、よりによって私の肺に生えますか?
それが生えちゃってるそうなんですよ。
採血の数値をみたらアスペルギルス属のカビが私の肺に巣作りしてるみたいなんです。
アスペルギルスっていったらアレじゃないですか、酒を醸す時にも使われるオリゼー君の仲間じゃないですか、かもすぞーじゃないですか。
私も晴れてもやしもんのキャラクター入りです。
そんな事は心底どうでも良いとして、今後どうするかを聞かれたんですよ。
どうするったってド素人の私には分かんないですよ、どうすりゃいいんですか。
そしたら提案されたんです、このまま放置するか、手術して患部を除去するか。
なんですか、その2択は。
肺をイジェクトするってどういう事ですか。
それも、カビ菌はヤバい物質を分泌するから取らないと生きていく上でヤバいかもしんないとか言ってるんです。
そんなん言われたらヤバいじゃないですか、取るしかないじゃないですか、他の選択肢なんか素人には浮かばれないじゃないですか。
私も嫁様とか家族を残して逝けないイケメンなので問答無用で取る事を選択しました。
聞く話によると患部の幹部は右肺の上葉だそうで、普通は肋骨の間に穴を明けて肺を取り出せば1時間くらいの手術で済むそうなんです。
しかしですよ、お医者さんがレントゲンを見て開口一番
「あー、こりゃダメだ、肺が癒着しちゃってる」
どーすんですか、この入院も1回じゃ終わらなかったじゃないですか、診察だけで終わっちゃったじゃないですか、続いちゃうじゃないですか。
でも、この先は皆さんご存知じゃないですか、そうすると入院記のリライトという事になるじゃないですか。
この急展開、執筆を待て。
【 次回予告 】
結核の手を逃れた私を待っていたのは、また地獄だった。
発病の後に住み着いた老人と睡眠不足。
呼吸器病棟が生み出した病人の躯。
寝たきりとボケ、看護師さんとシュールリアリズムとをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここは総合病院のゴモラ。
次回「ICU 」
明日も私と地獄に付き合ってもらう。