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エレベータ

私は、仕事柄よくビジネスホテルに泊まることがある。最初はビジネスホテルという非日常感に心躍ったものであるが、だんだんその気持ちも薄れてきた。
(朝ご飯サービスという文言には心躍る。
実際のところ宿泊料金に組み込まれているだけなのだが、ついてきてしまっているものは仕方あるまい!仕方なく!!朝ご飯を食べさせてもらいます!もったいないからね!)
※ビックリマークの数の多さと建前具合は比例する。筆者調べ。

これは、先日の朝ごはんがついていなかったホテルに泊まった時の話である。
朝、コンビニで購入し、帰りのエレベーターに乗った時に、たまたま小学生くらいの男の子とその母と乗り合わせた。その子たちは、4階に泊まっているようだったので、4階のボタンを押した。
そしてわたしは7階のボタンを押した、その時、後ろから強烈な視線を感じたのである。

「7階だって!!ママ、すごいなー」

強烈な右フックくらいの衝撃を喰らった。どうしよう。謙遜すべきか。誇るべきか。
「いやいや、そんなことないよー」
「えへん、7階はいいぞおー」
どう考えても悪手である。

結果、弾き出した答えは、「どうも!ニコニコ」
おそらく、「どうも」は声にできてないので、マゴマゴしただけだと思う。

そして、4階。そして、母。
「うちらは低層階だからねー」
2人は、ニコニコしながら降りていった。
完全にKO。朝から完全にやられた。

いつから、高い階という事実に心躍ることがなくなってしまったのか。
自分もかつては、上の階になにかしらの憧れのようなものを持っていたのである。

ありがとう、少年。自分はそんな些細なことにも目を向ける心を忘れていた。

だが、私は軽い高所恐怖症。
できれば低い場所がよい。

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