高所恐怖症の鳥
街灯のうえに二匹の鳩がとまっている。
3階の喫煙所から、ちょうど目の高さに見ることができる。
友人なのか恋人なのか親子なのか、いいなぁ、羨ましいなぁと思った。基本的にお一人様で過ごすことが多いので、特に不満もないけれど、ふとしたときに寂しさを感じることはある。やっぱり人生にパートナーは必要なのかなあ。
そんな感慨にふけっていると、ふと「高所恐怖症の鳥っているのかな」と、まったく脈絡のない考えが浮かんでくる。人間の脳は本当に勝手気ままだ。
ネットで見ると、鳥はそうした感情を持つほどには脳が発達していないとか、つまらない情報が出てきたのでとりあえず無視。ちょっとだけ妄想を巡らせてみる。
何万何十万といる鳥の中で、一匹くらいいても不思議ではないと思う。もしいたら、周りのみんなと行動をともにできなくて苦労しそうだ。
飛べないなら飛ばない生き方を見つけていくしかない。他の鳥たちが一瞬で飛び去ってゆく場所も、一歩一歩、歩いて進むしかない。
どっちがいいのかわからない。飛べるほうが、よりたくさんの場所に行けるだろうし、歩いたほうが、よりたくさんのものを見つけられる気もする。
みんなと一緒のほうが楽だし安全かもしれないが、うまく飛べないのなら仕方がない。自分なりの生き方を、自分で見つけていくしかない。
何とか飛べるようになるまで、寝る間も惜しんで努力するのもひとつだし、自分の個性を受け入れて、みんなとは少し違う道を歩くのもひとつだ。
不足を努力で補うか、個性を磨いて強みとするか。
いろんな人がいろんなことを言うけれど、どんな方向に舵をとるか、最後は自分で決めるしかない。
なんつって。