映画『アナ雪』は、内向的人間にとってのサクセスストーリーを描いた作品であることに改めて気付いた件
ロッシーです。
Amazonで注文した『アナと雪の女王2』のDVDが届きました。
家族で観ていて、改めて気が付きました。
そうか、エルサは「境地開拓型」なんだ!って。
なんで気が付かなかったんだろう。
その観点から『アナ雪1』『アナ雪2』を考察すると、この映画が内向的人間のサクセスストーリーを描いた作品であるという見方ができることを認識しました。
「境地開拓型」というのは、『内向型の生き方戦略』という本に出てくる概念です。詳細は、以下の記事でも書いていますので興味のあるかたはぜひご覧ください。
人を、内向的か外交的か、という性格面で分けるのが、これまでは一般的でした。
しかし、この本では、「境地開拓型」か「社会維持型」というかたちで、「社会から見た役割」という斬新な視点で分けているのが特徴です。
内向的なエルサの役割
エルサは、誰がみても内向的な性格です。つまり、「境地開拓型」です。
境地開拓型は、社会においては2割程度しか存在しませんので、エルサは少数派です。
それ以外の人は、既存社会を円滑に維持する役割に最適化している「社会維持型」です。
そんなエルサにとっては、アレンデール王国の女王になるというのは、どう考えても向いていないわけです。
だから、『アナ雪1』でエルサはお城を飛び出すわけですね。そして何もない真っ白な雪原で
「Let it go~ Let it go~♪」
と歌うエルサは、生き生きとしているわけです。
エルサにとっては、女王でいるということは、毎日気の進まない飲み会に参加し続ける日々のようなものなのです。
そこから逃れて1人で氷の城に住むほうが、「引きこもり!」と言われようがなんだろうが、エルサにとっては快適なのです。
『アナ雪1』ではエルサの問題は解決しない
『アナ雪1』を見ていて違和感があったのは、
「あれ、エルサは結局お城に戻るんだ。」
という点でした。
姉妹の絆が確認されて、エルサがお城に戻ってめでたしめでたし!というエンディングは、ハッピーエンドなのでしょうか。
エルサにとっては、また無理やり社会維持型の役割を演じ続ける生活に戻ることを意味するわけです。また嫌な飲み会の毎日(笑)になるわけです。
そのあたりが腑に落ちなかったのですが、『アナ雪2』を観てその点が解消されました。
『アナ雪2』でエルサの本領発揮
『アナ雪2』では、エルサは不思議な声に誘われて、その声を探す旅に出ます。
【↓↓ネタバレを含みますので、『アナ雪2』をまだ観ていない方はご注意ください。】
最終的には、エルサはアレンデールではない別の場所で暮らすことになり、アナがアレンデールの女王となります。
この結末で私もやっとスッキリしました。
とうとうエルサは本当に自分が自分らしくいられる場所を見つけたわけです。
これで、エルサは心置きなく「Let it go」できるわけですからハッピーでしょう。
そして、アナがアレンデールの女王になったことは、アナにとっても、アレンデール王国にとってもハッピーです。
アナは、エルサとは対照的な外交的な性格で、「社会維持型」です。スベンやオラフなど、色々な仲間と一緒に協力しながら、アレンデール王国をうまく統治していくでしょう。
『アナ雪』は、内向的な人間がどのようにして開放されるのかを描いたストーリー
アナ雪というのは、色々な見方ができる作品だと思います。
エルサとアナという姉妹の絆の力を描いた作品でもあります。
昔のDisney映画であれば、男性は「王子様」で、ヒロインを救うことが当然の役割だったわけですが、「そんなもの不要!」とバッサリ切り捨てた作品でもあります。男性はほとんど活躍しませんからね。
でも、見方を変えれば、アナ雪という映画は、
「内向的な人間が、既存社会になじめずに苦しみ、その後本来の自分の役割に目覚め、未知の世界である境地を開拓することで開放される作品」
と捉えることができると思います。
つまり、内向的な人間にとってのサクセスストーリーなのです。
エルサが「頑張って」「努力して」、アレンデールの女王として立派に統治できるようになることは、エルサにとってはサクセスストーリーではないのです。
社会維持型の人にも支持される『アナ雪』
面白いのは、社会のマジョリティーである社会維持型の方々も、この映画を支持しているということです。
もしかすると、社会維持型は、社会を維持するために最適化されているとはいいつつも、その内心の奥底では、やはり本当の自分自身になれる場所を探し求めているのかもしれません。
つまり、社会維持型か境地開拓型かに関係なく、誰でも「Let it go」したいのは同じなのでしょう。
ただ、社会維持型の人は基本的にうまく社会になじみやすいので、逆に自分の本当の思いに気が付きにくいのかもしれません。
とにかく、内向的な人も外交的な人も楽しめる、それが『アナ雪』だと思います。
良い作品ほど、自分だけの見方を受け入れてくれる懐の深さがあるように思います。
あなただけのサクセスストーリーを、あなたが見つけることを祈ります。
Thank you for reading !