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「ふつうの成績」の子の中学受験②受験を決めた理由

どっち?私立と公立

「中学受験」は狂気?

受験。誰もが一度は通る通過儀礼。(たまに通らない人もいるけど、かなり少数派)人それぞれ色々と思い入れがあるだろうし苦い思い出がある人も少なくないだろう。ご多分に漏れず私もそうで、長男の中学受験塾の案内が届き始めると、過去が自然と思い出されて胸がチクチク痛むことこの上なかった。

受験塾のスタートは2月なので、小3の二学期の終わりくらいから中学受験塾の勧誘や説明会が増える。(ちなみにさらに加熱した今は小2の二学期らしい)小3の2月から「新小4」のコースが始まるのがメジャーな「中学受験道」。

少しずつ情報が増えていくと、トラウマが疼くのと同時になんとなくアドレナリンが上がってくるのも否めない。華やかな学校の名前がずらりと並んでいると、我が子がそこに通っている様子を思い浮かべてふわっとした気持ちにもなった。

でも、やはり不安の方が強かった。「中学受験」と聞いてパッと頭をよぎるのは、年始のニュースで鉢巻を巻いた先生が子供たちにハッパをかける映像や、のめり込みすぎて子供を追い詰める母親たちのエピソード。それらは部外者から見れば軽い「狂気の沙汰」だ。その渦中に、自分の子供を放り込むことにはためらいがあった。けれど、公立中進学を選択することにも迷いがあった。

公立への不安〜コロナ禍の小学校

その頃はコロナ禍の休校が一段落して学校が再開されたものの、いびつさが目立っていた。公立小学校に良いところはいっぱいある。でも、その時期の先生方は明らかに負担が増えていた。朝、入室前に教室の前に立ち子供達の体温表をチェックして消毒スプレーを手にシュッとする。「接触しない鬼ごっこ」を編み出して子供達に浸透させる。「新しい形の給食」の食べ方を指導する。聞いているだけで気が遠くなりそうな細かな雑事がそれこそ増殖し、あたかも「名もなき家事」で忙しない主婦の如く「名もなき職務」で大変そう。

理不尽な仕事が増える時、真面目で一生懸命な人ほど倒れていく。ストレスや過労で数ヶ月休まれたり、若いのに退職される先生が増え、親の目から見ても人手が足りなかった。

近所の公立中学校を見学すればやはり真面目で一生懸命な先生方が出迎えてくれるけれど、部活の数が驚くほど少ない。理由は「顧問がいないから」。立派なプールがあっても、使うのは一年に2ヶ月程度で夏休みのプールが1週間程度の学校もある。

コロナ禍時に政府が一斉休校を決めた時、私立はすでに導入していたタブレットなどを活用してすぐに授業を再開できたけれど、多くの公立は授業再開まで2〜3ヶ月かかった。その時に顕著になった公立と私立の違いは、何もタブレットの有無だけではないことを肌で感じた。

子供時代はやり直せない。できるだけ「良い時代」を過ごしてほしい。そのために公立中が良いのか私立中を受験した方が良いのか、私は迷った。

意外だったのは夫の反応で「した方がいいんじゃない?」とあっさりしたものだった。彼なりに情報を収集してそういう結論に至ったらしい。

受験のイメージ、変わる

試しに受験塾の講演会に参加したら、今の受験は昔ほど偏差値中心ではないし、「偏差値が低くても良い学校はたくさんある」という言葉が印象的だった。その時に紹介された、中学受験ジャーナリストおおたとしまささんの本→中学受験「必笑法」という本はとても良くて中学受験へのイメージが少し変わった。
「親が学校のブランドや偏差値に拘らず学校選びをすれば、そんなに大変な受験にはならないかも」
私と夫はそう話し合った。

その時、同時に紹介されたのは二月の勝者という漫画。こちらはその後連続ドラマにもなったが原作の方が断然読み応えがある。

どちらの本も受験が終わるまで折にふれて参考書のように何度も繰り返し読んだ。しかし、これらの本は全てコロナ禍前に書かれたもの。参考になるところが多いけれど、コロナ前とコロナ後で社会背景や親の意識そのものが大きく変わってしまったことは頭に入れておかないといけない。

塾の授業は面白い!

とりあえず気になっていた塾の体験授業に息子と参加したら、とても楽しくわかりやすい授業だった。
「こんな授業なら、私が受けたかった」
というのが私の率直な感想だ。息子も、「通ってみたい」というのでとりあえず入塾を決めた。向いていなかったら、辞めればいい。そんな軽い気持ちだった。


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昌子仁香
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