Gift
いつも助けて下さってありがとうございます。
2月。
チョコレートを渡された。
ちょっと冗談を言いながら。
いや、笑えないし、と思いながら頬が緩んでしまった。
それはあなたの言葉のせい。
中身は俺好みの。
オーレの生チョコ。
美味しそうだ。
夕飯の後に食べよう。
もう一つ、小さな箱の中には重なったアラカルトチョコが入っていた。
やさしい落ち着いたブラウンの箱。
かわいいなぁなんて。
去年は確か、少し高いチョコだった。
あまり味は覚えていないけど。
コーヒーを飲もうと立ち上がると、コロンと箱が転がった。
カップを持って座り直すと。
チョコの名前が見えた。
Respect
ドキリとした。
正面からは見えない。
さり気なくこれを伝えたかったのだろうか。
俺は、そんなにいい男に見えるかなぁ。
これは、一般的な好意の言葉よりも。
かなり胸に来るものがある。
普通の好意はそのうち廃れるけど。
その言葉は半永久的に続く事を指す。
チョコをひとつ口に入れると、
とろり
と、とろけて。
sweet
あのアルトボイスを思い出して。
今、あなたがここに居てくれたら。
少し話をしたいと思って。
そんなことできるわけないじゃないか、と思い直して。
でも、ほんの少しだけでいいから。
会いたくなって。
やっぱりそんなこと叶うわけないだろ、なんてまた思いながら。
もやもやとした自分に苦笑いしつつ。
否定しても仕方ないやと。
またひとつ口に含んで。
そのひとときを。
あなたでいっぱいにした。
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