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#現代文学

安部公房『箱男』における動く語り手、変化する語り手

安部公房『箱男』における動く語り手、変化する語り手

 安部公房著『箱男』。中学二年生の夏、初めてこの本を読んだとき、これは本当に小説なのだろうかと思った。そうして直後、そもそも小説とは何だろうかと思ってぞっとした。この小説は、私の小説に対するそれまでの固定観念を木っ端みじんにしてしまうほどのエネルギーに満ちていたのだった。

 《箱男》はこの小説における語り手である。この小説は箱男の手記という形式で綴られており、その科学的とも言えるほど無機質な文体

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