2023年の鹿島アントラーズを見る6つの視点
2023年の鹿島アントラーズの陣容が固まった。まだ選手登録のウィンドーは開いているので変動はあるかもしれないが、2/16時点で33選手を抱えるチームとなった。
今回の記事では、個人的に気になっている今シーズンの鹿島の視点を6個の項目に分けて書いてみる。難しい言葉は極力使わず、サッカーに詳しくない方や応援し始めたばかりの方にも伝わるように書きたい。
視点1.「"鹿島らしさ"の体現」
今年のオフシーズンのビッグニュースは何と言っても昌子源と植田直通の復帰。彼らの復帰について、吉岡FDはこのように語っている。
この言葉を逆説的に取れば、昨年までの鹿島では「新しい鹿島」を作るための”鹿島らしさ”(=土台)が整っていなかったとも取れる。
確かに鹿島アントラーズは小笠原や曽ヶ端の引退以降は「拠り所」を失ってしまったような雰囲気があり、「良い時は良いが、良くない時は全体が沈んでしまう」という浮き沈みしやすい傾向が続いている。しかも今年はここ数年リーダーシップを発揮していた三竿健斗が海外に移籍してしまった。
今年も鹿島は新しいスタイルへの挑戦を続ける。若いチームに迷いが生まれる瞬間も多い事だろう。
そんなチームだからこそ、昌子源や植田直通がピッチの上でも、あるいはピッチの外でも良い影響力を発揮する事を期待したい。
(本当はここで「鹿島らしさ」とは何ぞや?という事も書いてみたい所だけれど、永遠に2つ目に進めなくなるので割愛しておく。2021年に書いたこんなブログなんかも参考にしてみてください↓)
視点2.「日本代表を目指す若者たち」
今の鹿島には将来有望な選手が揃っている。
CB関川郁万、SB常本佳吾、MF荒木遼太郎/松村優太、FW染野唯月あたりは筆頭だと思う。4年後のW杯に日本代表として名前を連ねるポテンシャルさえ持った若手選手たち。
名前を上げた中で、常本は鹿島に入団以降そのポテンシャルを存分に発揮しているものの、それ以外の選手たちは特に伸びしろをまだまだ感じる。
力はあるものの、それぞれ異なった理由でまだまだ能力を発揮出来ていない。
関川郁万はセンスの光るキックや自信を持ち合わせているのは素晴らしい所だが、集中力にムラがあるのと一つ一つのプレーへの探究には課題があるように感じる。
荒木遼太郎は創造性とチャンスクリエイト力が図抜けているが、コンディションが整っていない時は凡庸な選手となってしまう。ボールを受けに行く動きは多いが、ボールから離れてゴール方向に向かう動きのバリエーションは少なく、オフザボールの部分も課題といえる。
松村優太はリーグ屈指のスピードスターでドリブルも年々磨きがかかっているが、まだフィジカル面の逞しさを獲得できていない。優しい性格からか、チームに自分を合わせ過ぎてしまう所も見られる。チームとして動く上でのインテリジェンスにも課題がある。
染野唯月は繊細なボールタッチに加えてゴール前でのフィニッシュワークが抜群だが、彼も松村と同様にフィジカル面の逞しさを獲得できていない。ゴール前の駆け引きやポストプレーもまだ探究の余地があるだろう。
彼らがそれぞれ成長しスタメンに名前を連ねるようなチームになっていれば、それは鹿島が大きく飛躍している時だと思う。これからは彼らの時代だ。
視点3.「9番争い」
今年の鹿島の9番(ストライカー)の座を誰が射止めるのかというのは注目ポイントの1つになりそうだ。
鹿島の顔となった優磨、川崎から実力者・知念の加入、毎シーズン着実に結果を残し続けてきた垣田のレンタルバック、ヴェルディでゴールを重ねた染野のレンタルバック、ルーキーの師岡、そしてエレケもいる。
順当に行けば優磨が9番争いの筆頭ではある。しかし優磨は昨シーズンからチャンスメイクやゲーム構築の役割を担うことが多く、9番の仕事からは離れているというのが鹿島の現状。
今シーズンは昨シーズンのような”選手固定”の風潮は薄まると予想され、多くのFWを使い分けながらシーズンを戦っていくと思われる。
その中で誰がスタメンの座を射止め、2桁得点をマークするのか。あるいは途中出場からでも存在感を見せるのか。注目していきたいポイントの1つである。
視点4.「1つのサイクルを迎える外国人選手たち」
クォンスンテ、ディエゴピトゥカ、アルトゥールカイキ。ここ数年の鹿島で主力を担ってきた外国人選手たちも注目ポイントの1つだ。
彼ら3人はいずれも優秀なプレイヤーでチームに大きく貢献してきた。
クォンスンテはキャプテンを任される事からも分かるように、若いチームの中で頼れるリーダーだ。GKとしてのスキルも未だにトップレベルを維持している。
ピトゥカの技術の高さと活動量、ストイックさはチームの屋台骨と言える。
カイキは派手さこそ無いものの着実に結果を残すセカンドストライカーで、マッチアップでは殆どの相手を上回る。
優秀な選手たちである事は間違いないものの、この体制で今年もタイトルが無いようであれば、鹿島としては外国人枠の使い方について1つのサイクルを終わらせる可能性は高いのではないかと思う。(年齢的な問題もある)
いずれも今の鹿島に必要不可欠で献身性の高い選手なだけに、私としては是が非でも彼らとタイトルを取りたい。
視点5.「チームを支えるハードワーカー」
派手さは無いものの、チームを支えるハードワーカーはいつの時代も鹿島に欠かせない。
古くは本田泰人や熊谷浩二、鈴木隆行や青木剛。最近では山本脩斗、永木亮太や小泉慶。どの時代を見てもタフなハードワーカーたちが在籍していた。
今年の鹿島では、仲間隼斗や垣田裕暉、新加入の佐野海舟や師岡柊生に期待がかかる。
仲間は昨年サポーターの心を掴んだように、泥臭いプレーを厭わなく続けてくれる。ボールを受けたがる選手が多い中で裏に抜ける動きを繰り返してくれるのも重要なポイントだろう。監督の意図を汲んだプレーをしてくれるのも彼の強みだ。
プレシーズンマッチから早速存在感を見せている佐野海舟は既に主力の気配がある。垣田や師岡のハードワークも他のFW陣にはない強みになるはずだ。
チームが擦り合わない時に、不具合をカバーする為に走り続けられるタフな選手達が拾ってくれる勝点は小さくない。
今年の鹿島はある程度安定するまで時間がかかると予想されるため、タフなハードワーカーの出現やプレーぶりに期待したい。
視点6.「どんなサッカー?」
今年の鹿島は「こんな特徴のサッカーである」というのを一言で表すのが難しいスタイルになるのかもしれない。
もともと岩政監督がスタイルに選手を縛り付けるタイプではないため、チームのスタイルも幅を持った形が予想される。私も去年途中からの鹿島のスタイルを一言で言い表すことはできない。
岩政監督の目指すスタイルはおそらく「どんな相手にも対応できる」というチームだと思うが、それがある程度の形になるまで迷走したり、選手に迷いが生まれる可能性もある。ましてや岩政監督はプロで経験を積んだ監督でもない。結果次第で周囲から疑いの目も向けられてしまうかもしれない。
制約の加減やバランスを岩政監督がいかに調整して、チームの成長を達成するのか。結果を見せていくのか。些細なチームの変化に着目していきたい。
最後に
今年の鹿島も戦力としてはJ1上位相当のチーム編成だと思う。しかし昨年後半の戦いやプレシーズンマッチを見る限りは、跳ねるのか、沈むのか、今までにないくらい未知数のシーズンになると個人的に感じている。
期待と不安を同じくらい持ってシーズン開幕の日を待ちたい。
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