「海外至上主義(憧れ)をやめましょう」
白人の端正な顔立ち。陽気で楽しそうな海外生活。日本と比べると、どこか自由でなんだかキラキラして見える。でも、それって印象(イメージ)であって、必ずしも事実ではないのだ。
「事実」にあって「印象」にないもの。それは「根拠」である。
例えば、「海外の授業では学生が活発に挙手をして積極的に参加している」という言説があるとする。印象ベースの人は「なんとなく」のイメージでそのような事態を把握している。ただ、それは根拠に乏しくフワフワした説得力のないものである。だが、事実ベースで話す人にはちゃんと根拠がある。「この論文で述べられていたから」とか「実際に留学してそのような経験をしたから」とか。
実際にイギリスの大学院に留学していても、積極的に参加している人より、圧倒的に受け身の人の方が多い。それは、科目の評価がレポート100%で授業に対する姿勢が評価にが含まれていないのとか、ディスカッションをする機会があまりないのとか、イギリス人の国民性とかもあるかもれないが、教授の質問に対してシーーーーン…となる場面に何回も遭遇した。
そんなこんなで、海外に留学してみて1番実感しているのが、日本と変わらないことの方が多いということだ。日本人はシャイだと言われるが、イギリス人にもシャイな人は結構いる。なんとなく陽気なイメージのあるアメリカ出身の子でも、インドアで暗い印象をもつ子もいる。国民性という傾向はあれど、あくまで傾向である。あるまとめサイトで「インド人は時間にルーズ」という記事を見たが、インド人でも5分前行動している人はいるのだ。
だからこそ、海外へ対してなんとなく抱いている先入観を捨てることが大切だと常々思う。「アメリカ人だから陽気」と、人種でカテゴライズするのではなく、「彼は陽気」というように個人として見てあげたらどうだろうか。私たちはアジア人とか、アメリカ人とか、イギリス人とか以前に「地球人」なのだから。
だが、実際に経験してみる(海外で中・長期間過ごす)ことで腑に落ちることの方が多いので「先入観をもつな」と言う方が難しいのは事実だ。私もイギリスに来る前はメディアの情報に踊らされ、海外に対して勝手なイメージを抱いていた。インターネットに載っている情報は間違っていることの方が多いと実感したのは、留学してからである。もし留学していなかったら、海外に対してドラマや映画で見るようなステレオタイプなイメージを持ち続けていたのかもしれない。
どこか、白人の方がアジア人を見下すという風潮もあるし、アジア人もそれをすんなり受け止めすぎているところもあるのではないかと思う。それは欧米人の方が顔つきがイケメン・美人であったり、筋肉がつきやすい体質であったり、英語が世界で広く話されていることであったり。いろんな理由があるのだろうが、それに対して引け目を感じることはないのだ。BLM(Black Lives Matter)でもあるし、YLM(Yellow Lives Matter)でもある。
海外生活は思ったよりもキラキラしていないし、ドロドロして粘り気が凄い場面に遭遇することもある。国全体の雰囲気や制度の面で違いはあれど、同じ地球に住まわせていただいている生命として何ら変わりはない。
海外至上主義(海外の方が優れている)という認識は、相対的に「日本は劣っている」という構図を作り出す。だが、どちらが優れているかなんて、そう簡単に判断できることではないし、海外も母国(日本)もフラットに視る姿勢がこれからのグローバル人材に求められるのではないか。
もう、海外に憧れるのはやめましょう。
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