Kai

イギリスの大学院にて文化創造産業の研究に勤しんでおります。たまに英語を日本語に直訳した…

Kai

イギリスの大学院にて文化創造産業の研究に勤しんでおります。たまに英語を日本語に直訳したような文章になる傾向があります。

マガジン

  • Symbols in Meaningless

    街に溢れる無意味で、無駄で、くだらないように見えるオブジェだって誰かが意味を込めて作っているかもしれない。そんなこんなを記録する。

  • We Got the Right!

    アフリカ系アメリカ人達から学ぶ、「暮らし」の取り戻し方。

最近の記事

なぜ映画の予告編は面白いのか?

みなさんは映画の本編よりも、映画の予告編の方が面白かったという経験はないだろうか?事前に予告編を観て面白そうだと思ったけれども、期待値が高まりすぎたせいか、実際に映画館に足を運んでみても内容はイマイチだったという体験が一度はあるかもしれない。 逆にいえば、「予告編はつまらなかったけど、本編は面白かった」という話をあまり聞かない気がする。それだけ映画の予告編は、マーケティングの観点からも本編と同じかそれ以上に力が入れられているのだ。映画それ自体に関する批評や感想はありふれてい

    • 『アーティスト』と『クリエイター』の微妙なニュアンスの違い

      アーティストとクリエイターはごっちゃにして語られることが少なくない。一般的に、創造性(Creativity)を発揮するという点で画家や漫画家、ミュージシャンを思い浮かべやすく、逆に「公務員はクリエイティブだ」と主張されたら違和感を持つ人が大半だろう。 しかし、その『創造性』が発揮されているのか否かを、定量的に評価することが複雑であるのだ。例えば、アニメーション制作会社働いている新人を想像して欲しい。職業的に見たら創造性が発揮されているかもしれないが、業務レベルで見たらそうで

      • 『しゃべくり』で日常を取り戻した男の物語

        キング牧師(Martin Luther King Jr)が暗殺により亡くなって今日(2024年4月4日)で56年が経つ。キング牧師といえば 「I Have a Dream」というスピーチで知られ、公民権運動を先導した人物である。(ちなみに、マイケルジャクソンの「ヒストリー」という曲の冒頭にはこの演説が引用されている。) この演説には裏話がある。実はキング牧師は、「Normalcy, Never Again(”普通”は二度と訪れない)」という原稿を最初は用意していたのだ。それ

        • 「海外至上主義(憧れ)をやめましょう」

          白人の端正な顔立ち。陽気で楽しそうな海外生活。日本と比べると、どこか自由でなんだかキラキラして見える。でも、それって印象(イメージ)であって、必ずしも事実ではないのだ。 「事実」にあって「印象」にないもの。それは「根拠」である。 例えば、「海外の授業では学生が活発に挙手をして積極的に参加している」という言説があるとする。印象ベースの人は「なんとなく」のイメージでそのような事態を把握している。ただ、それは根拠に乏しくフワフワした説得力のないものである。だが、事実ベースで話す人

        なぜ映画の予告編は面白いのか?

        • 『アーティスト』と『クリエイター』の微妙なニュアンスの違い

        • 『しゃべくり』で日常を取り戻した男の物語

        • 「海外至上主義(憧れ)をやめましょう」

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        記事

          大日本帝国における騒音/噪音

          「静寂を重んじる文化の割に、日本はかなり騒々しい。」 ジャーナリストの Daniel Krieger はジャパンタイムズの記事でそう語った。確かに、都心に住んでいるのであれば家から一歩外に出てみればそこは別世界のように騒々しい音に溢れている。しかし、もはや家でさえ工事の音や隣人の音に悩まされることもあるだろう。 哲学者は概して思考するために静寂な空間を必要とするらしいが、フランスの哲学者の Blaise Pascal は「人間の不幸の唯一の原因は、自分の部屋で静かに過ごす

          大日本帝国における騒音/噪音

          【コミュニケーションアート】日常と非日常の境界線に生きる折元立身

          折元立身(おりもとたつみ)というアーティストを知っているだろうか? 彼のアート作品は人種問わず様々な人々を巻き込み、生きとし生けるものとのコミュニケーションをアートにするというユニークさに溢れたものである。それはひとえに、生命に対する根源的な愛があるからこそなせるものだと私は思うのだ。 このノートの見出し画像は『Art Mama(アートママ)』という彼の作品の中でも象徴的なアート群である。軽いアルツハイマーと、多量の薬を長年服用しつづけた副作用による鬱病と難聴に悩まされる

          【コミュニケーションアート】日常と非日常の境界線に生きる折元立身

          【イベント論】Makers Market 放浪記

          昨日、近くの現代美術館で「Endless Love Markets」という個人で活動しているアーティストたちが作品を出展するマーケットが開催されていたので行ってみることにした。 ちょうど授業でイベントマネジメントについて学んだので、いくらか実践的な視点から語れると思う。このイベントの裏側を知っているわけではないので分析できることに限界はあるが、来場者として参加してみての所感と推測で学術的っぽいレポートにしたいと思う。 Endless Love Marketsまずそのネーミ

          【イベント論】Makers Market 放浪記