きつねのはなし/森見登美彦
季節にあった本を読むって、なんだか粋じゃない?
本棚にあった『きつねのはなし』(森見登美彦)が目に留まる。
夏に読むにはもってこいの、背筋がひやっとする物語だった気がする。
次はこれ読もう。
通勤時間に少しずつ読み進めた。
うん、なかなかのヌメヌメ感。
推理小説じゃないから、奇妙なことは奇妙なことのまま。謎解きの爽快感はない。
それがはじめて読んだ高校生の頃は少しつまらなく思えたけど、ヌメっとした読後感や、すこしヒンヤリとした空気感を嗜むのが楽しい。
4つの短編の構成もとてもよくて。
少しずつ臨場感が高まっていく感じ。
同じ骨董屋さんが出てきたりして、リンクを楽しめる。
でも、決して辻褄はあわない。
「答え合わせができない」
それがある意味真実そのものだから、味わいを感じられるようになったのだろうか。
この物語にたびたび登場する、琵琶湖疏水。
先日訪れた南禅寺を思い出した。
京都の地の利を最大に活かした
夏の一冊。
ロン204.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?