わたしたちの結婚#32/思い出話と過去の価値
旅館の朝ごはんが好きだ。
普段の朝ごはんの概念を遥かに超える品数がずらりと並ぶ、贅沢な朝ごはん。
とても食べきれないのではないかと一瞬怯んでしまうけれど、薄味で計算されたバランスの食事は、不思議とスルスルと身体に吸い込まれていき、心地良い満足感に満たされるのだ。
なめこのおみそ汁と、大きなだし巻き玉子をお膳に見つけて、それだけで今日の朝ごはんは大正解だな、と心が踊った。
ごはんの硬さはかためが好きだけど、どうかな、などと考えながら慎重に一口頬張る。うん、美味しい。私好