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ron.204
2024年7月25日 00:30
旅館に戻ると、ご飯の時間まで余裕があったので、大浴場に行くことにした。私は温泉がとても好きだ。洗い場で、普段ないがしろにしがちな自分の身体をいつもより丁寧に洗う時間も好きだし、馬油やポーラといった、温泉でしか出会わないシャンプーで髪を洗うのも好きだ。なにより、温泉独特の柔らかいお湯を全身で感じる瞬間や、広いお風呂に手足をうんと伸ばす心地よさがたまらない。温泉からの眺めが良かったなら
2024年7月21日 00:17
レストランを出るとき、シェフのご夫婦が外までお見送りをしてくれた。改めて美味しかったと告げると、シェフは、東京で修行をした後、この大自然の中でレストランを開いたというエピソードを教えてくれた。東京で出会ったという奥様に、環境の変化に不安はなかったのかと聞くと、「主人は言い出したら聞きませんから」奥様は困ったように、けれど少し誇らしげに答えてくれた。夫婦というのは運命共同体なのだ
2024年7月9日 04:50
何を着て行こう。クローゼットを開けて、ふむ、と悩む。これまでファッションに関心を寄せてこなかった私にとって、デートでの服装は毎回私を悩ませた。「どうして暗い色の服ばかり着るの?」明るい色の服を着て欲しいと指摘した夫の拗ねたような表情を思い出す。黒、グレー、ネイビー。これが私のワードローブで、肩が凝らないことと、仕事でも週末でも使いまわせる無難なデザインであることが条件だった。