Euclidの互除法〈龍孫江の環論道具箱〉
前回は$${\mathbb{Z}}$$のイデアルの和の性質を観察し,
整数$${a, b > 1}$$の最大公約数を$${d}$$とするとき
$${ax + by = d}$$となる整数$${x, y}$$が存在する
を示しました.ただし,その証明は$${\mathbb{Z}}$$のイデアルの生成元に関する事実を利用したもので,$${x, y}$$をどう見つけるのかは別の問題でした.
今回は,$${ax + by = d}$$をみたす$${x, y}$$を見つける方法としても有力なEuclidの互除法を紹介します.
定理(Euclidの互除法)
整数$${a, b > 1}$$の最大公約数$${d}$$は,次の手続きによって求められる:
$${r_0 := a}$$および$${r_1 := b}$$とおく;
$${r_n > 0}$$である限り,$${r_{n-1}}$$を$${r_n}$$で割った余りを$${r_{n+1}}$$と定める;
$${r_{n+1} = 0}$$となったとき,$${r_n = d}$$である.□
この手続きをEuclidの互除法と呼びます.
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