転倒数の範囲〈龍孫江の群論道具箱〉
置換を平面的なあみだくじで表示,すなわち隣接互換の積に分解するとき,いくつ隣接互換があれば足りるかが問題でした.ひとつの候補として「転倒数」を導入し,今回と次回でこれが求める値であることを示します.
定理(転倒数の範囲)
$${\sigma \in \mathfrak{S}_n}$$に対し,$${0 \le \operatorname{inv} \sigma \le \frac{1}{2} n (n-1)}$$.また
(1) $${\operatorname{inv} \sigma = 0 \iff \sigma = 1}$$.
(2) $${\operatorname{inv} \sigma = \frac{1}{2} n (n-1) \iff \sigma = \begin{pmatrix} 1 & 2 & \ldots & n \\ n & n-1 & \ldots & 1 \end{pmatrix}}$$.
(3) $${\operatorname{inv} \sigma = 1 \iff}$$$${\sigma}$$は隣接互換である.□
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