指数法則と巡回群〈龍孫江の群論道具箱〉
今回から,部分群を用いて群の観察をしていきます.群がひとつ与えられて「それはどんな群か?」を目指して歩みを進めるとき,まず最初に考えるのは
その群はどんな部分群をどれだけもつか?
でしょう.つまり,与えられた群を「少し小さな群の連なり」に分解しようというわけです(ここでいう「連なり」は定義が明確な数学用語ではなく,ただのイメージ語です).
そこで,まずある要素1個から作られる群から考えます.
記法(指数表示)
群$${G}$$の要素$${a}$$と整数$${n}$$に対し
$${ a^n := \begin{cases} \overbrace{a \cdots a}^n & (n > 0) \\ 1 & (n = 0) \\ (a^{-n})^{-1} & (n < 0) \end{cases}}$$
と定める.
注.群$${G}$$の演算が加法の場合は$${ na = a + \cdots + a }$$と「定数倍」のように表します.
補題(指数法則)
整数$${m , n}$$に対し $${a^m \cdot a^n = a^{m+n}}$$,$${ (a^m)^n = a^{mn} }$$.
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