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10才からの学校英語にプラスしたい「英語力」を育むための軸|TESOLの視点
TESOLという英語を母語としない学習者への英語指導法を学ぶ講義で、ひとつの昔話が紹介されました:
1800年代にあるフランス人教授がいた。古典ラテン語と古典ギリシャ語の教授だ。その教授はドイツ語を学ぶためにドイツに移り住んだ。大いにドイツ語の学習に励み、辞書で基本的な語彙を頭に入れ、動詞活用をじゃんじゃん暗記した。そしてドイツの大学に出向いたが、講義の内容は何一つ理解できなかった。悔しく思い、もっと熱心に、もっと徹底的に文法も勉強した。そしてまた大学に出向いたが、まだ講義を理解することができなかった。
この話のように、机上のお勉強だけでは外国語をものにできないということが知れ渡るようになり、TESOLは英語学習の目標を「実践でコミュニケートできるための英語力」とはっきり示しています。決して建前ではなく、一貫してその目的向かっていくにはどう教えたらいいのか?を学びました。教える時も学ぶ時も、実際に使える英語力につながることだけに時間と労力を注ぎ、全てが「使える英語力を身につけること」に繋がるように、しっかりと目的を共有します。
学校英語に苦戦していても、あまり英語に触れる機会がなかったとしても、どんな子供にもこの「使える英語の基礎」をできるだけしっかりと効率よく築いてほしいと思います。その願いを込めて、日本の外ではどのようにして外国語としての英語が教えられているか、TESOL(アリゾナ州立大学@coursera)で重ね重ね念を押された7つのポイントをお伝えします。
(1) 「80/20ルール」
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20% Theory = 理論・理屈
80% Practice = 実践・実行
単語帳や練習問題に10分の時間を使ったら、40分は英語を聴いたり読んだり話したりと実践に使うべし、ということ。例えば、流行りの歌を聞いてみたり、英語でゲームをしてみたり、動画・本・雑誌を観てみたり、周りに英語ができる大人がいたら英語で話してみたり。英検、パス単、キクタン、文法、暗記といった理論の部類から離れて、血の通った英語に触れることが、大人になってから「勉強したわりには話せない」とならないために欠かせません。
(2) 「今の理解力+1」で学ぶ
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今の自分の英語力が「i」とすると、常に「 i + 1 」の理解可能な内容で学ぶのがベスト。難しすぎず、簡単過ぎず、ちょうどいい具合の「今の理解力+1」の英語を「理解してみる」プロセスを通して英語が身についていくのです。これが基本的な英語の習得方法です。よって「i + 1」のちょうどいいレベル感が効率のいい習得の要です。とても難しく感じる内容に取り組んでも、習得するものは少ないので注意しましょう。(言語学者・Stephen Krashen教授のComprehensible Inputという理論)
(3) 「間違えても大丈夫」
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英語も含めてどの言語も「習得」する際に、不安・恥ずかしい・間違いたくない・難しすぎる、といった感情があると、脳の言語習得装置への浸透を邪魔してしまいます。初級から中級にかけては、間違えることはごく自然で当たり前。間違えることを恐れたり、恥ずかしがったりせずに、安心して英語を使ってみることができる場があれば、自信とモチベーションを保つことができ、英語に抵抗を感じず習得しやすくなります。目指せ不安ゼロ。(言語学者・教育学者Stephen KrashenによAffective Filter仮説)
(4) その間違いは「Global or Local Error?」
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英語は、特に初級から中級にかけては、英語を話してみればみるほど、たくさん間違えます。これは至って自然で、実際に使っている証。周りの大人は、英語の間違い全て直さなくて大丈夫です。間違いを2種類に分けて対応します:
① Global Error →
伝えたい内容や意味を邪魔する場合は直す。Interferes with meaning.
② Local Error →
伝えたい内容や意味に影響がない間違いはスルー。Does not interefere with meaning.
(5) 「本物の英語」に触れること
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実際に使える英語を身につけるには、英語圏で日常的に使われている英語に触れることが大事。日本の教科書や参考書は、日本の学習文化に偏っていることがあり、英語圏のものとは雰囲気が違ったりするので、時にはそこから離れてみることを勧めます。「今の英語力+1」のちょうどいいレベル感で、リアルな英語に触れていきましょう。
(6) 発音よりも「通じるか?」の視点
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英語の発音、ちゃんと通じていれば問題ないよ、とTESOLは言い切ります。ネイティブ並の発音ができたら、それはもちろん最高です。でもでも、まず目指すべきは「通じる英語」。日本語を全く話さない人に、英語で伝えたいことを伝えられるか、そして相手がそれを理解できるかどうか、これが肝心です。この「通じるかどうか」を判断するには、使ってみなければわからないので、教室でも教室の外でもどんどん使ってみましょう。
(7) 指示説明より見本
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Instruction < Modelling
= 指示より見本
being told < being shown
= 言われてやるより、見ながらやる
英語を学ぶ時は「ああします、こうします」と文字や説明で指示を受けるよりも、目の前で見聞きしながらやってみる方が取り組みやすいです。指示・説明・理屈はほどほどに、やってみせる、そして一緒にやってみることが近道です。そして見本は必ずひとつ以上の違ったタイプのものも取り上げて、正解はひとつではないこと、語学にはいろんな答えや伝え方があるということも伝えていきましょう。
わたしにできること
文科省が定める標準授業時数によると、英語の授業時間は、小5〜中3で計508時間。学校でこれだけやるからには、せっかくなので気軽に生きた英語に触れる習慣をつけて、英語に慣れて、通じる楽しさを味わいながら「実際に使える英語力」を育ててもらいたい。そして、もしも学校英語がとても難しく感じたり、教科書を読むこともままならずに苦戦していても、この7つの軸のように日本の学校英語とは全く別のアプローチで英語に触れることで、糸口が見つかるかもしれません。
今暮らしているヨーロッパの小国では、子供からシニアまで、複数の言語を達者に使う人が珍しくありませんが、英検や単語帳や塾などは見当たりません。そんなヨーロッパの真ん中あたりの小国から、TESOLで学んだこともひっくるめて、これから英語力を育んでいく子供たちの学校英語にプラスしたい「語学の基本軸」を蒔いていきたいと思います。中学生が気軽に取り組める「80%実践」アイディアも具体的にまとめていきたいものです。
日本の中学生は受験や試験や英検でそれどころじゃなーい、そんな悠長なこと言ってる暇ないわよー、というたくさんの声も重々承知です。そんなこんなでも、どんな子供もできるだけ効率よく「使える英語の基礎」を築いてほしいという願いを込めて♡
おまけの一枚:青空市場で初めてニラ発見!フランス語でCiboulette、英語でChives。餃子で美味しくいただきました✌︎('ω')✌︎
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