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読書と麺類の休日。6月27日の日記

朝6時すぎに起きる。コーヒーを飲みながらネット。

朝ご飯は素麺。パルシステムで買った島原手延べそうめんがおいしい。やはりパルで買った「山形だし」と、大葉を刻んだやつ、梅干しをトッピングし、めんつゆをぶっかける。ちなみにめんつゆもパルの。おいしかった~!

録画したドラマ『ひきこもり先生』を観る。佐藤二朗演じる元ひきこもりの非常勤講師・陽平が、不登校の子供たちに寄りそうというお話。鈴木保奈美がスクールソーシャルワーカーの磯崎という役で出演している。磯崎はソーシャルワーカーとしての専門知識を持って子供たちやその保護者に接する。男前なはっきりした性格で、生徒や保護者やほかの教師にも臆せず自分の意見を言う。すごくかっこいい。けれど、ソーシャルワーカーとしてのそうしたやり方だけでは限界がある。そこを拾うのが陽平だ。陽平は自身もひきこもりだったから生徒の気持ちがわかる。この中学校には不登校になった生徒が通う特別クラスがあるのだが、陽平はそのクラスの生徒たちに慕われるようになる。毎回テーマが変わる学園ドラマで、前回はネグレクトが、今回はいじめ問題が描かれた。なかなか面白い。個人的には、陽平のひきこもり仲間である依田(玉置玲央)の存在が気になっている。ちょっと攻撃的というか病んでる感じ。玉置玲央はこういうクセのある役が合うね。依田の背景も、今後描かれることになるだろう。

今日は午後から雨という予報だったので家で本を読んで過ごすことに。まずは『小説新潮』5月号掲載の、R-18文学賞受賞作を読む。

宮島未奈『ありがとう西武大津店』。コロナ禍を過ごす女子中学生が、閉店となる西武大津店に毎日通うというひと夏の経験を描いたもの。R-18文学賞って、「女による女のための」と謳っているから、女性ならではの恋愛やら性やら生き方やらを書かないといけないのかなと思ってしまいがちだし、実際これまでの受賞作もそういう作品が多かったように思う。けど考えてみれば、女の恋愛や性や生き方を描いた作品なんていっぱいあるわけで、そういう作品を書いたとしても余程うまくなければ新鮮味に欠ける。その点今回の受賞作は、「女による女のための」をそこまで意識してないというか、そうか、こういう切り口で書いてもいいんだ、と思わせてくれる。もっと自由でいいんだよね、きっと。勝手に「こういうのを書かなきゃ」と思い込んでいただけで。私もまた書きたいな。

お昼は明太子と大葉のパスタを作る。これもパルの明太子。明太子にマヨネーズとめんつゆとバターを混ぜ、ゆでたパスタに和えるだけ。簡単においしくできた。マヨネーズじゃなくオリーブオイルを入れるレシピもあるし、納豆とかをトッピングしてもいいかも。明太子も大葉もまだあるので、今度は納豆をトッピングして別レシピで作ってみよう。

午後になっても一向に雨は降らなかったが、だらだら読書を続ける。

岡田利規『ZERO COST HOUSE』を読む。『群像』2013年2月号に掲載された戯曲。これは、2012年にアメリカの劇団で、アメリカ人の俳優たちにより上演された。なので、もともとの上演台本は英語(岡田の書いた日本語テキストを元に英訳されたもの)なのだが、『群像』掲載にあたり、岡田が書いた日本語テキストに英語の上演台本の状態にそろえる作業を施した、という。つまり英語の上演台本をまた日本語に翻訳したわけだ。

これは、2013年に日本でも上演されている。もちろんアメリカ人俳優たちによる英語上演だ。岡田はこの作品の日本語テキストを用いた上演を望んでいなかったようだ。残念ながら私は日本での上演を観ていない。

この戯曲は、ヘンリー・デイビッド・ソローの『森の生活(ウォールデン)』と、坂口恭平の『ゼロから始める都市型狩猟生活』を参照しながら、当時(震災直後)の岡田と、それより15年前の23歳だった岡田が登場する、自伝的な話だ。ソローや坂口恭平も役として登場する。なかでも坂口恭平という登場人物がおそろしく魅力的だ。坂口の著書を参照しているから、本人の思想がそのまま出ているのだと思う。岡田は当時かなり坂口に影響されたようだ。坂口の影響で、岡田は縁もゆかりもない熊本への移住を決め、周りを驚かせた。

震災後、政府への不信から、坂口は新政府を樹立し、自ら総理となった。坂口自身はのちに当時の自分を「躁状態だった」と語っている。が、この戯曲を読むと、坂口の言っていることは、当時と今でそれほど変わっていないようにも思える。坂口が一貫して主張しているのは、「世界の見方のレイヤーを変える」ということだ。少し戯曲の坂口のセリフを引用しよう。

「だって世界に複数のレイヤーが存在しているってことは思考の解像度を上げない限り絶対に見えてこないことだからね、で、もっと言っちゃうとさ、このレイヤーの存在ってやつを知ってるか知らないか、この差はものすごく大きいんだよね、これって実は世界の究極の秘密みたいなものだからさ、これ知ってるやつと知らないやつの差は、はっきり言って金持ちか貧乏人かっていう差なんかよりもずっと決定的だよな。」

それにしてもこの戯曲をアメリカ人が演じたんだ。それはどんな動きがついて、どんな音楽が入っていたんだろう?ああなんで私はこの上演を見逃してしまったんだろうか。でも、戯曲だけでもこうして読むことができてよかった。




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