【レクイエム】DIC川村記念美術館「西川勝人 静寂の響き」
3月末で休館が決定しているDIC川村記念美術館へ行ってきた。
顛末が顛末なのであまり感慨には浸れず。
ただ「なくなってしまうの、残念だわぁ」と無責任に言い放ちたいけどそんな感想も素直に抱けず、言えず。
ああすればよかったのに。こうしたらよかったのではないの?というのも所詮、後出しにすぎず。
この事例を期にこういう顛末の再発を防げるのか?糧にできるんだろうか。
そもそも、美術品なんて流通品、諸行無常は世の常、永遠なんてあり得ないと心得ておくべきなのか。
母体会社の経営の内情の、本当の深いところなんて1素人にはわからないしな。そんなことを考えていた。ただ口の中が苦い。それだけ。
見る前に余計なことを考えてしまう時点でもういわゆる平常心ではないのだけれど。
いつもの展示を見に行く、見たい!という気持ちで見ないと嫌だなと思った。現時点で展覧会をしている個展の作者にもなんだか失礼だし。
なんとか平常心を。なんだこの修行みたいな心境。
という訳で、DIC川村記念美術館「西川勝人 静寂の響き」を見に佐倉へ。
一念発起して「運転免許を取得しよう!」と40歳を過ぎて決意し取得まで頑張れたのもこの美術館へ車で行く!という目標があったからだ。
自分の人生に確実に良い変化をもたらしてくれたのだ。
そういう動機になった場所だった。
初めて行ったのはカラーフィールド展の時だった。
あの時もお弁当を持って行った。
本日も晴天で、家族4人でサンドイッチを作って持って行った。
ただお弁当は6人前用意した。あれ?おかしいな?増えてる…
展示概要
うーーーん…あまり、「静寂が拡がり、静謐さに包まれた空間」ではなくなってしまったけどね。
もう揚げ足を取り始めるときりが無いからこの辺にしておく。
西川勝人氏は彫刻家、というか造形家、ということだ。
今まで沢山観てきたか?というとわたしには馴染みなく、職場の近く新宿アイランドタワーにある、アレのあの人かも、という。
これの⑦↓
知らぬ間に出会っていることは多々ある。
このアイランドタワーはロバートインディアナのLOVEで有名。
今回も相変わらず展示室での写真は撮れないので写真はなし。この美術館は常設→企画展示室の順序で見てしまいがち。
常設展示室前半
西川さんに纏わるドイツの作家の展示が多かった。バウハウス系列とか、あぁこの人…という作品が出されていた。
おお!と思った作品はサイ・トゥオンブリーの彫刻があったこと。
この前の週に富井大裕氏の講演を聞きに行った際(これは機会があれば記事化したい)、ファシリテーターの林卓行氏からトゥオンブリーの彫刻についての話があったのだ。
その時、見本で示された写真資料の現物が出ていておお!と。
そうか、川村が持っていたのか。
企画展示室
西川さんの作品は木、石膏、ガラスなどを材料としている。
石膏そのものを素材として作品にすることは珍しいのかもしれない。
石膏の扱いづらさや特徴を知ると、眼の前の作品がどういう手順で作られたのか、を自然と考え始めてしまった。(最初は飲むヨーグルト状で、ある地点を過ぎると急に固まり始めるのだそうだ ※富井大裕氏談)
造形そのものの美もあるのだが、過程、途中の状態に思いを馳せる。
すると、眼の前にある出来上がった状態が余計に尊いものに感じるのだ。
そばにいた10歳の次男に「これどうやって作ったんだろうね?」とポツリと言うと自分とは全然違う制作方法を想定している。
もちろん、彼に石膏という素材の知識もないし、なんなら紙粘土的なテクスチャを想像して発言している。
でもただ眼の前の作品の作る過程なんて作者以外知り得ないのだ。
なんか不思議だよなぁと思った。
これは抽象絵画を見ていても時々陥る思考回路で、どこから描いた?下地の色はどこだ?と考え始めるとじーーーっと見つめる目が動かなくなってくる。
秋の庭園散策
全て見終わって、庭園の散策へ。
鳥好き次男は双眼鏡持参。いつものガチョウや白鳥の横にスンと存在していたアオサギを発見して大笑いしていた。
最初に来た時は長男はまた小学生で次週に控えた運動会の選抜リレーの練習と称してヘンリームーアの銅像のある芝生広場を使いコーナーを走る練習をしていたな。
行った日はキッチンカーが来ていて賑わっていた。
6人前のサンドイッチを4人で食べる。
次男がポツリと言う。
「これでここが最後になっちゃうの、嫌だなぁ」
素直な気持ちに当てられる。
そうだよね。心からの本音ってそれだよね。
建前で感傷に浸るのは違う!って心理的に悲しむのをガードしてたけど、やっぱり嫌だなとは思う。
自分の気持ちを10歳の男児に代弁してもらったような、何ともホロ苦いサンドイッチになってしまった。
楽しいローカルスーパー
帰りに、佐倉市内で地元発のスーパーに寄り、次週の食材を一通りまとめ買いした。流石、千葉は佐倉、魚が激安でめちゃくちゃ楽しかった!銚子の物がいっぱいある!そして広い。
お菓子売り場の煎餅コーナーの品揃えが素晴らしく。
最近、出かけ先のローカル煎餅を探すのが好き。
今回は山中食品さんの「雷鳥」を購入。
まあひねりあげなんですけどこれが美味しかった!お酒がすすむ!
もっと買い込んでくれば良かった…
普段行かないスーパー楽しいな。
旅先でもなるべくその地域のスーパーには立ち寄る様にしているけれど、こうやって新たな食材との出会いも楽しい。
少しだけ持ち直して、家路に着く。
国道357号はいつも船橋の渋滞にひっかかる。