【ゆく河の流れは】ホー・ツーニェン エージェントのA 東京都現代美術館
アジアの映像作家の躍進目まぐるしい昨今。
ここ数年はコレクション展示室にてアピチャッポン・ウィーラセタクン氏の映像作品が放映されていたのが記憶に新しい。彼はタイの方だ。
東京都現代美術館は開館当初から(東南)アジアの作家を取り上げている。
アジアと銘打って開催された展覧会で記憶にあるのは1997年の展覧会。
そこから27年経った今年はシンガポール在住のホー・ツーニェン(Ho Tzu Nyen)氏の個展を開催している。
アーティスト概要
展示概要 一部抜粋
基本的に映像作品なのである程度時間をかけてみることになる。
導入は難解だが、キャプションの内容、文章が飲み込みやすく助かった。
読んで、見て「なるほど」と思える場面が多くあった。
キャプションに助けられる場面が多いが、かといって読むのが苦痛な分量ではなかったため展示に没頭することができた。これをまとめ上げた展示構成はすごいな、と。
面白いと思った作品は「時間」に関する作品とスパイに関する作品「名のない人」の話。
・時間
時間に関する作品の中で、「考え方や捉え方」の解説は納得する部分も多い。
「あぁ時間というのは共通認識として使えるのだな、でも現在の日本人の持つ時間感覚は西洋化の時に多大な影響を受けて出来上がっている感覚なのだな」と考え直すきっかけにもなる。
論文のような作品。
・名のない人
これは単純に映画的面白さがあり、つい全編見てしまった。20分ほど。
俳優トニー・レオンが出演する既存の映画をつなぎ合わせて、スパイという実態の無いような、しかし確かに歴史の中に実在した人物を表現する。
帰ってきてもっと知りたくなってwikiを叩いてみたけども項目がなく。
ちょっとゾッとした。そうなのか。ないのか。
Googleだけで調べると、人物辞典のようなものにそのスパイの名は見つかる。
当人の写真と思われる画像も貼られているがちょっと不気味すぎてそっとブラウザを閉じた。見てはいけないものを見た気がした。
難解さとわかりやすさと受け止めやすさ
難解といえば難解だし、自分自身は映像を見続けるのが苦手なタイプなのだが今回の展示は、キャパオーバーにならなかった。
受け止めやすい位置でボールをキャッチさせるって大事なのかもしれない。
方丈記的な概念は国を超えてあるんだな。