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【自動と自然】ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—「ピュシスについて」アーティゾン美術館


今年もアーティゾン美術館のジャムセッションの時期がやってきた。
いつも秋だったと思ったら2022年だけ春の開催だったようだ。

2020年 鴻池朋子 ちゅうがえり(秋)
2021年 森村泰昌 M式「海の幸」ー森村泰昌 ワタシガタリの神話(秋)
2022年 鈴木理策と柴田敏雄 写真と絵画−セザンヌより(春)
2023年 山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン(秋)

この中で印象深いのは、2022年の「鈴木理策と柴田敏雄」。あれは面白かった。


今回で5回目の開催。今回は毛利悠子氏。
どこかで名前を見ている、いや、良く見ている、知っているけれどすぐにパッと作品が出てこず…
と思っていたら、赤瀬川原平さん未発表作品展示で写真のセレクターの中にもいた方だった。


今年はこの時の写真展に名前を連ねる方の個展が2つもあり、なんだか嬉しい。
鈴木康弘氏に毛利悠子氏。

代表作になるのか「モレモレ」は考現学に近いところにあると思う。発見の目なら赤瀬川原平さんに繋がっていくのも納得できる部分だ。

そして最近、他の美術館でもこのジャムセッション形式(所蔵品×個展開催作家)をみかけるけれど、このフォーマットの先駆けはアーティゾン美術館だろうか。
自分が美術館巡りを再開した頃、コロナ禍以前はまだ見かけなかった。


展覧会概要

アーティゾン美術館では、2020年の開館以来、石橋財団コレクションとアーティストとの共演、「ジャム・セッション」展を毎年開催しています。第5回目となる本展は、国際的なアートシーンで注目を集めるアーティスト、毛利悠子を迎えます。
毛利は、主にインスタレーションや彫刻を通じて、磁力や電流、空気や埃、水や温度といった、ある特定の空間が潜在的に有する流れや変化する事象に形を与え、立ち会った人々の新たな知覚の回路を開く試みを行っています。
本展タイトルに含まれる「ピュシス」は、通例「自然」あるいは「本性」と訳される古代ギリシア語です。今日の哲学にまで至る「万物の始原=原理とはなにか」という問いを生み出した初期ギリシア哲学では、「ピュシス」が中心的考察対象となっていました。当時の著作は断片でしか残されていませんが、『ピュシス=自然について』と後世に名称を与えられ、生成、変化、消滅といった運動に本性を見いだす哲学者たちの思索が伝えられています。絶えず変化するみずみずしい動静として世界を捉える彼らの姿勢は、毛利のそれと重ねてみることができます。
毛利の国内初大規模展覧会である本展では、新・旧作品とともに、作家の視点から選ばれた石橋財団コレクションと並べることで、ここでしか体感できない微細な音や動きで満たされた静謐でいて有機的な空間に来場者をいざないます。

アーティゾン美術館公式サイトより

まず言葉が分からない

ピュシスってなんだ?というところから。

「通例「自然」あるいは「本性」と訳される古代ギリシア語」
とあるが、作品を見ると自然物ばかりがあるわけではない。
むしろテクノロジー寄りが多いのでは?と思える。

いきなり音が鳴っている


なまもの、だな。


なんか繋いである果物。
会期中どうなっていくのか。この音は果物から発せられているそうだが…会期初日と会期終了日で音は変わるか。気になるところだ。
私が訪れた11月2日は重厚な低音、コントラバスの様な音が鳴っていた。

こちらにも。
ブラックの果物。
こちらは一瞬を切り取っている訳だ。
腐ったりはしない。


でも何か面白みを感じる。動き、に惹かれる。
動き始めるのを待ってじっと見つめてしまう。


フォークがぶら下がっている
このグラスに当たるのかい?当たらないのかい?
どっちなんだい?


動きが停止した後も次の動きや違う動きを期待してその場からしばらく離れられなくなってしまう。

スプーンですね。


ブーン

「もしかして、こう動くんじゃないか?」と予測してしまったり。
なんか訳わからん状態を皆んな「うーん?」と見てるから面白いのかもしれない。

ベルリラ使ってる。懐かしいな。


トイレットペーパーなんか滑稽だものな。

巻き取られるのかほどけてるのか。


以前、伊庭靖子さんが描いたでっかいトイレットペーパーの作品をオペラシティで見たけれど、その時も笑った。そのものだけでなんか笑えるっていうモチーフはあると思う。

誰か泳いでくるか


さてなぜピュシスなのかは展示室だけでは判明しなかった。
アーティゾンお得意の解説なし展示だからだ。
とにかく「?」を浮かべながら見るしかない。
それで良いのか。良くないのか。
私にはわからない。

でも、作者について気になり、知りたいとおもったので図録を購入した。作者のインタビューを読んでようやく、ああ、なるほど、となった。

「私のインスタレーション作品ってモノを集めて動かすという、機械仕掛けの技術だらけなんです。なんなら自然らしい自然はひとつもない(笑)。そういう、技術を主軸としたアートをつくってきた美術家が、個展のタイトルとして、初期ギリシア哲学者の著作をまねて「自然の本性について」なんてうそぶくのが面白いな、と思ったのがこのタイトルにした理由のひとつでした。」

図録より一部引用

…いや、これ流石に解説ないと分からなくない?
ちょっと破綻してる気がする。

「カッコ笑」って書いてある文章の雰囲気は展示室に全然ない。でも、なんかプスッと笑った感覚は遠く無かったのかもしれない。

コレクション展示室も終わった全ての出口手前にあるアーカイブ部屋に今回の図録が置いてあるので、作者のインタビューを読んでみると良いかと思う。

アーカイブ部屋。過去の展覧会の資料もここに。

そもそもジャムセッション自体に慣れてない方も来場者に多そうで、「コレは誰の作品なの?」と小声で話している人を多数見かけた。(この下の階の展示室から通常展示になりますからご安心ください…)という気持ちになる。作品リストは配布しているもののキャプション無し展示なので難易度は高そう。

フーゴーフーゴー鳴っている

しかし最後に。入口にある音がする展示。
私はこの和音が嫌いではないな、と思って企画展示室を後にした。

コレクション展 
5階「ひとを描く」
4階「マティスのアトリエ」


名品揃い。

古代エジプトの品とお馴染みの名作がズラリ。

エジプト推しコーナーも。

今回は人物フォーカスなので余計にお馴染みの顔がズラリということだ。

シレッと新所蔵品


4階はマティスの特集。
ジャズもかなりの枚数出していますから、纏めてみたい方はぜひ。

お馴染み切り絵。
日本全国どの美術館が所蔵しているのか。
またあまり見ないタイプの絵。
部屋とブルーヌード混ぜた様な。
椅子にフォーカスしたのか。

シレッと新所蔵品のマティス作品も考証が面白いので解説を読むのがおすすめ。

鳩ー!


こちらも新所蔵品。荒川修作だー!
この安井曽太郎の花瓶部分が好き

アーティゾン美術館の休憩場所

やっぱり疲れてきた。休もう。

疲れた。休もう。
ここの椅子には電源コンセントもついている


そしてよく休憩していたview deckはお隣の戸田建設が完成したのでviewもクソも無くなった。

2024年のview deck。ビルview

ビルの壁が接近しているのみ。

2020年頃のview deckからの眺め。
こんなだった。工事現場view
2020年頃は既に旧戸田建設の建物は無かった。
基礎が見える(2020年頃)

工事現場期間も含めて旧ビル→解体現場→基礎工事だった頃の風景が懐かしい。

とはいえ、戸田建設もなにやらアート系に力を入れてるらしいのでお隣まで行ってみることにした。

つづく。


※ついに、アーティゾン美術館が来館者アンケートを導入した。答えると一階インフォメーションでハガキももらえるのでみんなドンドン意見を送ったらいい。

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