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スピノサ その3

自由意志が機能しない世界で、人はどうしたら、どのような意味で「自由に」生きられるのか。
スピノザはこの難問に寄り添って思索を重ね、やがて『エチカ』を生み出したのです。この辺りが今を生きる私たちが、スピノサを学ぶ意味があるのでしょう。

「エチカ」「に書かれた人間の自由への道筋は、何も難しいことではありません。

人間の行動を支配するのは感情です。
その感情はというものは観念ですから、考えが変われば感情のあり方も変わるはずであり、感情のあらわれ方が変われば、人の生き方も変わるはずです
。意識に浮かぶ考えを整理、整頓し組み替えていくことをこれをひたすら繰り返すことで、ひとは受け身で動くあり方から自ら動くあり方、即ち能動的な自由な生き方へと、少しずつ変わっていけるはずである。

『エチカ』に表現された人間観はかなり両面的である。
「ひとは理性の力で自由に生きられる」という啓蒙主義的、楽観的なイメージと「理性的であろうとしても、感情にからめ取られてしまうことがある」という諦めムードの漂う悲観的なイメージの両方である。

どちらにどのように軸足を置くかによって解釈が違ってきます。
エチカを読んだゲーテは、後者のようだったようです。

「理性的で自由に生きる」という認識の世界を生きようとするのも、「いくら理性を磨いてもダメな時はダメなんだ」と開き直る生き方も、それぞれ違った形でありながら、どちらも、いい生き方につながるのではないでしょうか。自分で『エチカ』を読む価値はあるのでしょう。

生において何よりも有益なのは知性ないし理性をできるだけ完成することであり、そしてこの点にのみ人間の最高の幸福、すなわち至福は存する。(エチカより)



静岡市 日本平から富士山と清水港

スピノザは、全ての存在には自分を維持し続けようとする力(コナトゥス)があると言います。

この、今存在している状態を維持し続けようとする努力(傾向)が人間の本質なのです。

力(コナトゥス)を意識する
人間は自らのコナトゥスに従って行動している時、自由になります。
自由ということは能動的に行動ができています。
そして能動的に行動すると、幸福を感じる回数は増えます。
つまり、コナトゥスを意識して、コナトゥスに従った生き方をすることが幸福に生きるための秘訣なのです。

コナトゥスを理解し自由に生きている人は、他人に対しても優しく接することができます。
自分のことを大切にできる人は、他人のことを大切にできるのです。
個人の本性を抑圧し、画一的な真理に当てはめるような社会では、いつか必ずその歪みが現実に表現されます。
スピノザは、幸福に生きるためにも、健全な社会を作るためにも、一人ひとりがコナトゥスについて考えることが重要だと考えました。
全ての人が自分のコナトゥスに理解を示し、他者のコナトゥスを理解できるようになれば、人類はより幸福になれるのかもしれません。(Web記事を参照)





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