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休校中チャレンジ~長唄三味線~9日目&「子育てwith長唄」回顧録

休校中のお稽古チャレンジ、今日で9日目。お稽古の事は、また後程書きますのでまずは「子育てwith長唄」回顧録から。

2015年11月博多座

夏のゆかた会、秋の東成会が無事に終わり、次は私の流派の杵勝会全国大会です。毎年行われる定期演奏会では無く、数年に1回の大変大きなイベントです。今回は初の九州で博多座です。
全国大会では、幼児から高校生くらいまでの子供達が大勢で合奏をする「こども楽団」と言うのが恒例で、名物となっています。ここに息子も出演させて頂く事になりました。
こちらはお兄さんお姉さんに導いてもらえるし、これまで頑張ってきたご褒美に博多へ旅行も出来るし、先日の京都の舞台とは違った気分の舞台です。

博多座は私も好きな場所で、博多座の大舞台にちょこんと座る息子を想像するだけで嬉しくなってきます。私もその曲に助っ人として出演し、私の前に息子が座る予定です。なにより一緒の舞台に出れるのが嬉しい。

リハーサル当日

息子は幼稚園終わりに来るので、私は一足先に博多へ。新大阪のホームでは見ると幸運が訪れるというドクターイエローが停まっており、幸先良いでだしです。

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息子の到着を楽しみにしていて、ようやくやって来た息子。ん⁉少し元気がないような…?幼稚園が終わってから新幹線に乗って来たので疲れているのかな…?しかし、着物に着替えて出番を待っていた息子ですが弱々しく、大丈夫かと聞くと舞台に上がらないと言い出しました。

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明らかにいつもの様子ではなかったので、今日は客席から見ているだけでいいよ、明日は頑張ろうねと声をかけて見学させていたのですが、その後気持ち悪いと客席で吐いてしまいました。吐いたら少し楽になったようでしたが、すぐにホテルに帰らせました。

博多に行ったら美味しいもの食べようねと言っていたのに、コンビニでポカリやゼリーを買ってベットで眠る息子を見守るばかりです。
吐いた時に少し汚してしまい、ホテルの洗面所で洗って干した着物を見ると、本番の明日が重くのしかかってきます。
もう明日は劇場にも行かないで帰すのが良いのか、それとも劇場さえ行ければ案外スムーズに舞台に乗れるのか。

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本番当日

翌日、少し表情が明るくなった息子に「頑張れそう?」と聞くと「うん…」という返事。よし、春からお稽古を積んで博多まで来たんだ、頑張ってみよう!と、心を決めました。劇場で向かう息子は熱も咳もくしゃみも無く、スキップすらしています。ああ良かった昨日は移動で疲れていただけなのだ…。

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しかし、着物に着替え、舞台袖まで来た息子が「お舞台出ない」と愚図り始めたのです。お稽古が辛くて泣いた事はある、でも舞台を拒否する事はなかった息子が、ここに来て初めて拒否をしました。
私が怒っても、祖父がなだめても、叔父が励ましても、しくしくと泣き、でも断固と舞台を拒否する息子。

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出演者が舞台に上がり始めました。演目が多いのでタイムテーブルはみっちり、舞台転換に時間をかけるわけにはいきません。息子が座るはずの場所もこのままではポッカリ空いてしまいます。遂に、私も諦めました。親子で博多座の同じ舞台にでる筈だったのに、息子は舞台脇にいます。正直、舞台で泣いてしまいそうでした。

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「供奴」の出演DVDを申し込んでいたのですが、楽屋通路にいたビデオ屋さんに「出られませんでした」とキャンセルすると、「そうなんですか!」と驚かれ、心配そうにされました。
先輩の奥様が楽屋で慰めて下さり、「もうこの子にはサンタさんは来ないです」と言ったら、「そんな事ないわよ。大丈夫、絶対来るわよ」と息子に優しく話しかけてくれました(そしてサンタさんは本当に来ました)。
Facebookに息子の事を投稿すると、日本舞踊の方が「私も子どもの時、本番を拒否したことがあります。娘道成寺の小坊主の役でした」と返信をくれました。

しばらく気持ちを立て直すのに時間が要りましたが、やはり今となっては大きな学びでした。息子はロボットではありません。親が舞台に送り出す為にあれこれ頑張っても、機械のように確実に動作するはずはないのです。

順調に舞台をこなしていたら、出来ることが当たり前、親が子どもをコントロール出来て当たり前という態度で、息子に当たっていたでしょう。
博多座の挫折は、息子は人間である、親だろうとこの子の全てをコントロール出来はずはない、しようと思ってはならない、という事を教えてくれました。

親として学び、演奏家としてもこう思いました。

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次世代への継承という意味だけでなく、お稽古を通しての子育て、父と子の時間。私の想いなどをお伝えし、感じて頂ければ幸いです。またアナログな長唄の世界、ネット配信など新たな試みに挑戦し、長唄の魅力を広めていきたいと考えています。宜しくお願い致します。