スピードの出し過ぎよりも危険
この記事、オートバイのことも含めていますけど、バイク乗りの記事というより、車や自転車、電動キックボードなども含めた一般的な話として書きます。
読んでくれた人の参考になるかどうかはわかりませんが、いわゆる車両と呼ばれる乗り物を運転する人には是非一度考えてみてもらえれば嬉しいです。
安全運転と言えば決まって速度のことを言われることが殆どですよね。
スピードの出し過ぎに注意しましょう。
法定速度を守りましょう。
そんな言葉は日常で毎日のように耳にし目にしています。
でも、スピードが事故の原因なんでしょうか?
スピードさえ出さなければ事故は起きないんでしょうか?
僕はそうではないと考えています。
「ゆっくり走る」の意味
確かに、スピードを出し過ぎると危険を認知するまでの時間は短くなるし、
危険を認知してから回避操作をするまでの時間も圧倒的に短くなります。
ですからスピードを出せば出すほど事故のリスクが高くなるというのは間違いではないですし、確かな事と言って良いでしょうね。
それに、酷い場合には危険を認知する前に事故になり、事故に遭ったことにさえ気づかないまま気を失ったり病院に運ばれているようなケースも決して珍しくはありません。
ところがです。
必要以上にスピードを落として走ることは果たして安全だと言えるでしょうか?
制限速度を守っていれば、法定速度を守りさえすれば事故は起こらないのでしょうか?
こんな経験はありませんか?
車の流れに合わせてバイクや車を一定の速度で走り続けていて、眠気を感じたとか注意力が散漫になったとか・・・
僕はこれこそ事故を引き起こす原因のひとつではないかと考えているわけです。
20才の頃からずっとそう思い続けてきました。
また、車の流れに乗らず、ひたすらマイペースで走り続けていると、
もう少し速いペースの車の迷惑になったり、イラっとさせることもないわけではありません。
煽り運転の原因を作ってしまうこともないわけではないです。
(だからと言って煽り運転を正当化するつもりはありません)
「ゆっくり走る」
この言葉の解釈はひとつではないかもしれません。
僕なりの解釈では、周囲の交通の状態や流れに合わせて走ることが大切であり、且つ自分なりの安全に走れる速度域を保つことなんじゃないかということです。
集中力と緊張感
車でもバイクでも自転車でも、何かを運転する時には良い意味での緊張が必要です。
・周囲の車の動きはどうか
・信号は今どうなっているか
・人や車が飛び出して来そうな危険はないか
常にそんな危険に対する準備をしているので緊張感があるし、緊張感があれば一定の集中力を保つこともできます。
しかし、例えば制限速度80キロの高速道路で、歩行者も自転車の飛び出しもなく、
周りの車とは、追い越すこともなく追い越されることもなく、一定の速度で何の変化もなく安定走行を続けていると、危険を感じることもなく心のどこかに安心感が生まれて緊張が緩みます。
緊張が緩むと集中力も低下し場合によっては眠気さえ感じるようになります。
もちろん、誰でも同じというわけではありません。
80キロで走っていても常に緊張感のある人もいるでしょうし、慣れた人なら100キロで走っていても余裕かもしれません。
大切なのは「決められた速度で走る」ということよりも、自分なりのリズムや速度感を持ってその範囲内で走ることではないかということです。
決して「怖い」と感じるほどのスピードは出さない方が良い、というか出してはいけません。
怖さを感じながらそのスピードで走ると、咄嗟の時には必然的にパニックになって適切な回避操作や回避行動ができなくなるからです。
良い意味での緊張感を保てるような速度で走る事、その速度が自分の中の運転リズムと合っていることが大切だと思うのです。
他の記事では書いた内容の繰り返しになってしまいますが、インカムや携帯電話も事故の原因になりやすいと思います。
これも緊張感を奪って集中力を低下させるからです。
かれこれ20数年くらい前でしょうか、世の中に携帯電話が普及し、誰でも携帯電話を持つようになると、車を運転しながら携帯電話を使う人が増えました。
結果、事故が増えたので運転をしながら携帯電話を使うと取り締まりの対象となりました。
誤解している人が多いようですが、手に携帯電話を持つことが危ないからハンズフリーならOKって思っていないでしょうか?
はっきり言いますが、これはまったく違います。
運転をしながら携帯電話などを使って会話をしていると、いつの間にか通話の方に集中してしまい、運転に対する注意力が散漫になって
・赤信号にも気づかない
・目の前に飛び出してきた人や車に気付くのが遅れる
・カーブの深さに気付かず、曲がり切れずにガードレールにぶつかった
こんな事例が増えたわけです。
ところが、警察官が離れたところから運転手を見ていても、その人がハンズフリーで会話をしていると携帯電話を使用していることを現認できないので取り締まれないというだけの話です。
だから確実に携帯電話を手に持って通話しながら運転している人だけを取り締まっているんです。
繰り返しますが、運転中の通話も速度超過並みに、或いはそれ以上に危険なんです。
バイクの場合はインカムを利用している人が増えていますが、ツーリングでは仲間同士でインカムを使って楽しく会話しながら走る人が増えています。
車の場合の携帯電話と同じで、集中力を削がれやすいので決してお薦めはしません。
もちろん、警察官からはインカムで会話をしているのかしていないのかも確かめようがないですし、そもそもインカムを使用してはいけないなんて決まりもありませんから取り締まっていないのが実情です。
車もバイクも自転車も、
・目で見た視覚的情報
・耳から入る聴覚的情報
・手足或いは体全体から入る情報(振動や衝撃、操作感など)
そういった情報を数多く集め、その情報を脳の中で整理して自分がとるべき行動を判断して運転に反映したり、次の操作、次の行動を決めています。
それを1秒にも満たない短い時間の中で何度も何度も常に繰り返しながら運転をしています。
ですので、注意力、緊張感、集中力、どれも欠かすことなく走ることこそ運転する上での欠かせないテクニックなんじゃないでしょうか?
人より速く走ることも
道路上の車やバイクをすり抜けながらかわすことも
考えられないようなスピードでコーナーを駆け抜けることも
ここでいうテクニック抜きではただの危険な運転でしかないと思います。
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