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不気味で恐ろしい自分探し

精神科医の春日武彦先生の本に、人生的にかなり影響を受けてます。

小学生のときに図書館で、表紙のハサミの絵にひかれて「本当は不気味で恐ろしい自分探し」というタイトルの本を手にとって読みました。

世間的にそういう流行だったのか、世代的にそういう年頃だったのか、◯◯型のトリセツみたいな血液型占いや、怪しげな心理学なんかが流行ってた時期でした。

自分探しというタイトルにもそういうものに近い印象を感じ取って興味を持ったのかもしれません。

私の小学生の時に暮らしていた町の図書館は児童書のコーナーが随分と広く、棚の関係なのか今思えば結構大人向けの本が子ども側の本棚に並んでいました。
その割には、◯◯型のトリセツとか心理学の本は大人側の棚に置いてありました。

小学生の読む本が児童書に限定されなかったので、良い配置なんでしょうね、これはこれで。

頭の中を文章にする、という行為を意識したのはこれが最初かもしれません。

他人の思考をのぞき見る体験はそれまでの読書体験にはなく、そこにある悪意と偏屈が衝撃でした。

多分より正確にいえば、それが文章に書き起こされていることが驚きでした。

当時どれほどその本の中身が理解できていたかはわかりませんが、高校生になって進路選択を意識したときに精神科医という職業が頭に浮かんだのは、小学生のときに読んだこの本の影響がじわじわと効いていたように思います。

結局、前期で受けた医学部にはあっさりと落ちて他の進路を選んだのですが。


未だに私は自分の人生が、あの本に書かれているフィクションのエッセイの一つに切り取られているような気がしています。

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