資金調達は経営者の仕事ではない
[要旨]
銀行から融資を得るために相当の労力をかけて融資承認を得る経営者の方の中には、それを経営者の役割と考えている方もいます。しかし、融資を得ることは、事業発展の手段であり、融資を得ることを目的としたり、融資を得ただけで安心してしまうことは避けなければなりません。
[本文]
先日配信された、経営コンサルタントの渡邉昇一さんのPodcast番組で、大分県の住宅建設会社社長の臼井栄仁さんのお話を聴きました。番組の中で、臼井さんは、「資金繰は経営者の仕事ではないが、資金繰をして仕事をしたと考えている経営者の方もいる」とお話しておられました。
これには少し補足が必要と思います。臼井さんは、社長の本来の仕事は、事業を発展させること、利益を得ることであり、資金繰、すなわち、銀行と交渉して融資の承認を得ることは、社長本来の仕事ではないという主旨をお話したのだと思います。一方で、会社が融資を受けなければ、事業を継続できないので、融資を受けるための活動は重要であると考える方もいると思います。
私もそう思うのですが、一方で、融資を受けただけでは、事業は発展しません。融資を受けた上で、事業を発展させるための活動をしなければ、事業は継続できません。ただ、融資を受けると、手許に資金が得られ、少しの間は事業を継続できるので、銀行から融資承認を得られると、そこで安心してしまう経営者の方もいるのでしょう。
そのような経営者を、臼井さんは、「資金繰をして仕事をしたと考えている」と指摘しているのだと思います。すなわち、臼井さんのご指摘は、会社が融資を受けることは必要であるものの、それは事業を発展させるための手段であり、目的ではないということなのだと思います。このことも、多くの方が容易に理解できることとは思うのですが、銀行との交渉にのみ注力している経営者の方は少なくないと、私も感じました。
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