焼肉サブスクは市場の細分化のよい事例
[要旨]
もともと、焼肉ライクは、一人で焼肉を食べたいという、狭い市場の需要に応える焼肉店でしたが、さらに、食事制限をしている人の需要に応えるという、焼肉サブスクというサービスを開始し、成功しています。このように、市場を絞り込むことで、単なる焼肉店同士の競争ではなく、その市場の需要を独占し、ブルーオーシャンの状態で事業を展開することができるようになります。
[本文]
ビジネス書作家の俣野成敏(またのなるとし)さんが、MONEYVOICEに、焼肉ライクの“肉サブスク”について寄稿しておられました。「焼肉ライクの店内には、パーテーションなどで区切られた1人用の席に、オーダー用のタッチパネルやセルフウォーターサーバー、1人分の無煙ロースターがセットされ、誰にも邪魔されず焼肉を堪能できる空間が用意されています。
これまでの『焼肉プレートを囲んで、みんなでワイワイ言いながらお肉を焼く』という常識を覆したのが、焼肉ライクでした。これだけでも、かなり革新的ですが、その焼肉ライクが新たに打ち出したのが、焼肉サブスクリプションサービスです。サブスクといえば、定額サービスのことですから、『いくら焼肉が好きな人でも、そればかり食べるのは、どうだろう』と思いますよね。だから、彼らは対象顧客を思い切り絞りました。それが、食事制限をしている人たちです。(中略)
食事制限をしている人たちにとって、外食やコンビニのお弁当では糖質が多過ぎるものが多く、敬遠されがちです。『家の外では、食べられるものがない』、『糖質制限食は美味しくない』といった常識を打ち破ったのが、焼肉サブスクだったわけです」焼肉ライクは、短時間で焼肉を食べたいという需要に応えており、これは、洗髪はせず、散髪だけをしたいという需要に応えたQBハウスの事例に似ていると思います。これだけでも、狭い市場に対応していると思うのですが、焼肉のサブスクは、そこからさらに狭い市場を標的にしています。
というのも、現在は、焼肉店には多くの会社が参入しています。だから、単なる焼肉店では、レッドオーシャンで戦うことになってしまいます。しかし、焼肉ライクのように、市場を狭めることによって、その市場の需要を独占することができます。商品そのものでは差別化をすることが難しい時代だからこそ、市場細分化によって、狭い意味での商品ではなく、提供方法などを加えた広い意味での商品の差別化が可能になるというよい事例を、焼肉ライクは実践していると思います。
2023/6/21 No.2380