人気店は従業員満足度で差をつける
[要旨]
約70万人のキャンセル待ちがいる、人気店の頭専門のもみほぐし店の「悟空のきもち」は、経営者がセラピストの意見を十分に聴き取り、快適な職場を提供するように努めていることが、サービスの向上を通して、顧客満足度を高めているようです。これは、サービス業のマーケティングのインターナルマーケティングが奏功している事例と言えます。
[本文]
ダイヤモンドオンラインに、日本初の頭専門のもみほぐし店として、2008年に開業した「悟空のきもち」を運営する、ゴールデンフィールドの社長の金田淳美さんへのインタビュー記事が載っていました。ちなみに、「悟空のきもち」は、“日本一予約が取れない店”と呼ばれ、現在、全店で3か月先まで満席状態で、キャンセル待ちの人数は70万人近くいるそうです。同店がそのような人気店になった要因は、経営者がセラピストの意見を取り入れていることにあるようです。
「施術内容において“顧客の声”を重視する金田氏だが、経営スタイルを決めるに当たり、同じくらい大切にしているものがある。同店で働く“セラピストたちの声”だ。『お客様に満足していただくためには、セラピストの高い技術が必須です。そこで、彼女たちがスキルアップのためにストレスフリーな環境で意欲的に仕事に取り組めるよう、意見を聞き、快適な職場環境の実現に注力しています』
例えば、『悟空のきもち』は、全店で、店長やマネジャーといった役職を設けていない。役職があることで人間関係にあつれきが生じたり、業務内容の差が生まれて衝突したりするためだ。『横のつながりを大切にしたい』というセラピストたちの思いが、聞き入れられたわけだ」
私は、従業員の意見を取り入れさえすれば競争力が高まるというほど、サービス業は単純ではないと思います。提供するサービスは、ある程度の水準を満たさなければ、人気店にはなることはできないと思います。ただ、さらに人気店を突き抜けるためには、経営者が従業員の意見に傾聴し、従業員のモラールを高めなることが重要だということは確かだと思います。
したがって、経営者は、従業員のやる気を引出すことに注力しなければならないという事例として、「悟空のきもち」は、よいお手本になると思っています。ちなみに、この、従業員満足度を高める活動は、サービス業のマーケティングを構成する、インターナルマーケティングというものです。これは、サービス業においては、サービスを提供する従業員の満足度を高めることを通して、サービスの品質を高め、最終的に顧客満足度を高めるという考え方によるものです。
2023/2/15 No.2254
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