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形骸化したルールをアップデートする

[要旨]

株式会社識学の社長の安藤広大さんによれば、多くの会社では、形骸化し、理不尽なルールがありますが、それが効率的な活動の妨げとなることがあります。そこで、リーダーは、組織の効率的な活動のために必要と考えられるのであれば、自らの責任で、理不尽なルールを変更しなければならないということです。すなわち、ルールは組織の効率化のためにある手段であり、ルールを目的そのものにすることは避けなければなりません。

[本文]

今回も、前回に引き続き、株式会社識学の社長の安藤広大さんのご著書、「とにかく仕組み化-人の上に立ち続けるための思考法」を読んで私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、安藤さんによれば、例えば、Apple社は創業者のジョブズ氏の優れたアイデアで成功したと考えられがちですが、同時に、それを実現させるための優れた組織があったからであり、事業を成功させるためには、アイデアと仕組み化された組織の両方が大切だということについて説明しました。

これに続いて、安藤さんは、仕組み化とはルールを決めて組織を運営することだということについて述べておられます。「『仕組み化』というのは、『ルールを決めて、ちゃんと運営する』ということです。恐らく、『仕組み』や『ルール』という言葉を聞くと、ネガティプなイメージが先行するでしょう。それは、あなたの会社に『理不尽なルール』だと感じているものが思い浮かぶからかもしれません。『このルールは何のためにあるのだろう?』と思ってしまう決まりが、きっと1つや2つはあるはずです。

『新入社員は、始業時間の30分前に来ましょう』『電話は3コール以内に取りましょう』『一般社員はエレベーターを使ってはいけません』これらのルールがあったとして、なぜそれが生まれたのかについて想像力を働かせてみてください。過去、何か問題が起こったとき、そのルールは作られたのでしょう。そのときは必要だったのです。ただ、そのときの『責任』を語るベき人が、いまはいません。ルールが形骸化してしまい、そのまま残ってしまっている状態です。

誰かがその『責任』を引き受け、変えなくてはいけない。本来、人の上に立つ人が、自らの責任で変えるべきです。もしくは、『このルールがあることで、ある問題の発生を食い止めています』ということを組織全体に浸透させなくてはいけない。ルールを正しく取り扱う仕組みがないから、『理不尽なルール』と思われてしまうのです。仕組みの考えは、そうやって使われるベきです。過去に作られで形骸化したルールを、もっと大きな仕組みの枠組みによってアップデートしていく。その責任をとるベき人が、人の上に立つベきなのです」(17ページ)

本旨から少し外れますが、「仕組み」と「ルール」について考えてみました。これらについて、明確な定義はないと思うのですが、私は次のように考えました。例えば、ある駐車場は、北側と南側から出入りできます。そして、駐車場の出入りを円滑にするために、利用者に対して、「入る時は北側の入り口を使い、出る時は南側の出口を使う」という決まりごとを定めたとき、これがルールになると思います。一方、北側の入り口に、センサーによって自動車が外側から来たときだけ開くバーを設置し、南側の出口に、自動車が内側から来たときだけ開くバーを設置することが仕組みだと思います。

この仕組みの例では、センサーで開くバーによって仕組みつくられていますが、もしバーを設置しなくても、北から入って南から出るというルールが浸透していれば、そのルールによって、自動車の出入りが円滑になるという仕組みが機能するようになると思います。必ずしもこの説明が絶対的とは言えないかもしれませんが、ルールと仕組みとは、このような関係なのではないかと思います。

話を本題に戻すと、理不尽なルールは、仕組みを円滑に機能させることの妨げになるということは、ほとんどの方が感じていると思います。しかし、理不尽なルールがなかなかなくならないことの理由として、次のようなものが考えられます。(1)理不尽なルールがある方が都合のいい人たちがいて、その人たちがルールの変更に抵抗する。(2)ルールを変更することが望ましいとは思っていても、その変更にはある程度の労力が必要なので、変更がいつまでも先送りされる。(3)そもそも仕組みを改善することに無関心であり、理不尽なルールがあったとしても、無意識に従っているので、これを変更しようという考えに至らない。

そこで、安藤さんは、「過去に作られで形骸化したルールを、もっと大きな仕組みの枠組みによってアップデートしていく、その責任をとるベき人が人の上に立つベき」と述べておられるのでしょう。ここで、安藤さんは、「もっと大きな仕組みの枠組みによってアップデートしていく」と述べておられますが、私は、この考え方はとても重要だと思っています。すなわち、ルールは絶対的なものではないということです。

ルールは、それが必要だからつくられたわけですが、その必要性は変化しても、ルールだけは残ってしまいがちであるということです。したがって、組織活動はより大きな効果を得ることが最大の目的であり、ルールそれに沿うよう変更されなければなりません。ルールは目的にしたがうものであり、ルールが目的化してはなりません。そして、この大原則を見失わず、常に組織の状況を注視し、必要な場合はルールを変更することが、リーダー(会社においては社長)の重要な役割だと言えます。

2024/12/22 No.2930

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