「B面活動」による意識改革
[要旨]
三島食品では、かつては、創業者の影響力が大きく、従業員の方たちの考え方が硬直化していたことから、二代目社長の三島豊さんは、「会社に関係することなら勤務中でも自由にやっていい」という制度の「B面活動」を採り入れ、挑戦的な会社組織を育成し、業績を高めて来ました。
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先日、テレビ東京の番組のカンブリア宮殿で、三島食品が紹介されていました。同社は、広島県で創業した会社ですが、ふりかけの「ゆかり」などが主力商品で、現在は会長の三島豊さんが、1992年に、二代目社長として経営を引き継いでから、売上高138億円まで業績をのばし、業界では丸美屋に続く第2位の地位を築いています。
当然、同社では、競争力の高い製品の開発に注力してきたわけですが、私は、同社の「B面活動」に注目しました。この「B面活動」は、次のようなことがきっかけになって行うようになったそうです。すなわち、三島さんが経営を引き継いでから、工場の壁に、「安全の注意点」を書いた紙を貼ろうとしたところ、古参の幹部従業員から、「先代は『工場はスッキリ清潔に』と仰っていた」と言われ、掲示することに反対されたそうです。
この経験から、三島さんは、同社社内への先代社長の影響力が大きく、考え方が硬直化しているとを感じ、意識改革をする必要性を感じたそうです。そこで、三島さんは「B面活動」を始めることにしたそうですが、この「B面活動」とは、「会社に関係することなら勤務中でも自由にやっていい」という制度のことだそうです。「B面活動」を行う日は、ある従業員の方は、終業時刻になる前の3時に工場を離れ、チラシや漫画を描いているそうです。
その方は、別の従業員の方の自己紹介漫画も描いていて、取引先にそれを名刺代わりに渡すことで、商談に発展するツールになっているそうです。その他に、「B面活動」では、会社のオリジナルソング作り、ノベルティグッズ作り、製造機械の改良、赤じその香りのするリキュールの開発などが行われているそうです。私は、この「B面活動」は、QCサークルの小集団活動に似ていると考えていますが、小集団活動よりももっと自由度が高い活動であると考えています。
そして、前述の例では、営業ツールや新製品開発などが直接的な成果となって表われていますが、それだけでなく、「B面活動」の経験を通して、従業員の方が自律的になり、そのことが、挑戦的な会社の風土の醸成につながり、事業全体の業績を高めてきたと考えることができると思います。そして、そのような組織風土の改善の手法を考え、実践し、定借させることが、経営者としての大切な役割であるということを、改めて感じました。これからも、製品のふりかけだけでなく、三島食品の動きにも注目して行きたいと思います。
2021/12/28 No.1840
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