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経営理念はまず経営者自身が実践する

[要旨]

経営環境が不透明になっていることから、経営理念を定めることに意味はないと考える経営者の方は多いようです。しかし、経営環境が不透明だからこそ、経営理念を定め、会社の進む方向を明確にすることで、日々の活動が研ぎ澄まされ、業績が向上すると考えることができます。

[本文]

今回も、Bリーグチェアマンの島田慎二さんのご著書、「オフィスのゴミを拾わないといけない理由をあなたは部下にちゃんと説明できるか?」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、経営環境が不透明だからこそ、経営理念を定め、会社の進む方向を明確にすることで、日々の活動が研ぎ澄まされ、業績が向上すると考えることができるということについて説明しました。これに続いて、島田さんは、経営理念を会社にどのように浸透させていけばよいのかについて説明しておられます。

「PDCAがうまくまわるかどうかは、経営理念が社員に浸透しているかどうかによって決まります。経営理念には、経営者の『夢や志に対する熱い想い』が、ギュッと詰め込まれています。文字数は少なくても、そこからイメージされるものは、非常に多いわけです。それを社員の意識や行動のなかに浸透さえていくには、経営理念に沿って経営目標をつくり、そこから細分化していって、社員個々の目標や行動に落とし込んでいかなければなりません。経営者が経営理念を提示したら、社員が経営者の想いを汲み取り、日々の業務に反映させることができる、あるいは、そうしていくのが当然などと考えているのであれば、それはとんだ思い違い。

経営理念を掲げれば成功するわけではないと言ったのは、そういことです。経営理念を組織の中に浸透させていくには、経営理念に基づいた目標をつくり、計画を立て、実行し、精査していく、要するに、PDCAをまわしていくことが肝心なのです。千葉ジェッツでは、経営理念を具現化するためにミッションをつくり、さらにそれを個々がどう落とし込めばよいのか、行動指針打ち出しています。そして、社員に迷いや不安が生じないように、できるだけ私が直にコミュニケーションをとることを心がけています。

私は、その際、『会社や私が儲けられるのがハッピーということではなく、あなたが頑張ってやるべき目標を達成すれば、そこに喜びやあり、それによって昇給したりして、会社全体が盛り上がっていく、それこそがハッピーなんだ』と、折に触れ伝えるようにしています。経営者が描いた経営理念は、経営者自身が実践しているという『背中』を見せることで、初めて社員に伝わっていくものです。経営理念の浸透においても、生きた手本が前にあるある以上の教育はないと思います。社員が会社に対して迷いや不安、さらには疑念を感じているようでは、強い組織に変わることはできません」(45ページ)

島田さんは、経営理念を浸透させるためには、経営者自身が経営理念に基づいた行動を率先垂範することが鍵になると述べておられます。もちろん、それはあまりにも当然なので、これについてはこれ以上説明する必要はないと思います。そこで、もうひとつの鍵は、経営理念を、ミッション、行動指針に細分化し、それを実践することは、まず、会社のためではなく、従業員のためであるということを示すことができるということです。

これは、従業員満足度を通して顧客満足度を高め、その結果、会社の業績を高めることになるということです。もし、経営理念がなければ、従業員としても、会社は単にお金儲けをしているだけであり、それが、自分の処遇などとどう関係するのかが分かりません。もっと直接的な表現をすれば、社長は従業員のために頑張っているということが分かるようにすることが大切ということです。そして、そのためには、まず、経営理念を明確にすることから始めなければなりません。

2023/7/12 No.2401

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