ドラッカーが注目した日本の教育制度
[要旨]
ドラッカーは、19世紀後半の日本は、あらゆる階層が教育を受ける制度があり、そのことが、日本の著しい経済発展につながったと指摘しています。そして、21世紀の現在は、多くの国民がITリテラシーを高めることが、経済発展につながるものと、私は考えています。
[本文]
現代経営学の父といわれている、ピーター・ドラッカーは、日本贔屓で有名ですが、ドラッカーの1993年の著書、「ポスト資本主義社会」を読み返していたところ、ドラッカーは、日本の教育制度を、著しく高く評価しているということが書かれていました。具体的には、江戸時代末期から明治時代にかけて、日本は、庶民に対する教育制度が存在していたということです。
このことは、知識としては私も持っていましたが、欧米人からみれば、驚きの対象になっているということを、改めて認識しました。というのは、西洋や中国では、教育の対象は、学者などの知識人に対して行われるものであり、あらゆる階層を対象に教育するということは、近代まで行われていなかったそうです。
日本は、明治時代以降、急速に近代化が進みましたが、それは、日本独特の教育制度があったことが、その要因だったということを、ドラッカーの本を改めて読んで認識しました。これは、日本にいるとなかなか気づきにくいことなので、米国にいたドラッカーだからこそ、気づくことができたことなのかもしれません。
ところで、これは21世紀の現在も当てはまると考えています。すなわち、現在は、国民のITリテラシーの高い国は、その国の経済面の国際競争力が高くなっていると思います。具体的には、米国だけでなく、インドや韓国などが当てはまると思っています。余談ですが、日本でも、新しく就任した総理大臣が、デジタル庁を設置するという方針は、タイムリーな方針だと思います。
そして、そのことは、私が言及するまでもなく、多くの方がご理解しておられると思いますが、一方で、日本では、従業員のITリテラシーを高めようとする会社は、残念ながら、少数派と感じています。確かに、人材投資をしても、直ちに収益に反映されないということも事実ですが、競争の激しい時代に、何で勝負するかといえば、あまり選択の余地はなく、それは、人材投資しかないと、私は考えています。そんなことを、ドラッカーの本を読んで感じました。
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