結婚相談所は学習塾
[要旨]
依存心の強い経営者は、コンサルタントに銀行への融資申請の支援を依頼したとき、それがうまく行かないと、コンサルタントに責任があると考えます。しかし、融資承認を左右する最大の要因は会社の業績であり、そこから目をそらすために、コンサルタントに責任を押し付けようとすると考えられます。
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先日、婚活コンサルタントの田中菊乃さんの、女子SPAへの寄稿を読みました。要旨は、「結婚相談所を利用する女性の中には、お客様感覚になりすぎていて、『高額な料金を払うのだから、私を結婚させてみなさいよ』という態度を見せる、残念な人が多いようだ。
しかし、結婚相談所をうまく利用して、結婚相手を見つけられた人は、『受験に例えたら、結婚相談所は学習塾だと思って利用した。利用するだけでは、必ずしも結婚できるようになるわけじゃないけれど、結婚できる確率は高くなるし、あとは、自分の努力次第』といっており、このように、まず、自らが努力することが大切だ」というものです。
比較することが必ずしも適切とは言えませんが、私も、融資申請の支援などを受けたときに、田中さんが感じたことと同じようなことを感じることがあります。というのは、「コンサルタントに報酬を支払うのに、銀行から融資の承認を得られなければ、それは、コンサルタントの腕が悪いからだ」と言われるときです。
融資の承認が得られるかどうかは、支援するコンサルタントの能力が高い方がよいですが、コンサルタントの能力は、融資承認が得られるかどうかの決定的な要素ではありません。基本的には、融資を受ける会社の業績やポテンシャルが決め手となります。恐らく、コンサルタントに依存的になっている経営者も、内心では、自社に対する銀行からの評価に自信がないので、コンサルタントに依存してしまうのでしょう。
さらに、問題なのは、そのような経営者の方ほど、前述のように、「自社が融資の承認を得られないのは、コンサルタントの腕が悪いたからだ」と、自社以外に責任があると主張する傾向があります。しかし、そのように、経営者自身が問題の本質に向き合おうとしない間は、会社の業績が改善することはないでしょう。
本題からそれますが、私は、融資申請や事業改善のご依頼があったとき、依頼してきた経営者の方の依存心が強いかどうかを確かめるようにしています。経営者の方の依存心が強いと、前述のように、そもそも業績が改善する見込みが低いことに加え、トラブルにもなりやすいからです。もちろん、ご依頼者の依存心が強いことがわかれば、ご依頼をお断りします。