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シェアード・リーダーシップ

[要旨]

シェアード・リーダーシップは、チームメンバー全員がリーダーシップを発揮し、リーダーの役割を共有している組織の状態で、環境が変化しやすい時代に向いているものです。そして、これをを採り入れると、チーム全体のモチベーションが向上するだけでなく、プロジェクトを円滑に進行させることができ、チーム全体のパフォーマンスを高めることができます。

[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「共感型リーダー-まわりが自然と動く、何歳からでも身につく思考法」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、パートナー・リーダーシップとは、どちらがリーダーで、どちらがフォロワーか、その時々によってその役割が入れ替わるようなリーダーシップスタイルで、このようなリーダーシップが発揮されることで、役員や従業員の個々の得意分野を活かせるだけでなく、能動的、かつ、効率的な活動が促されるということについて説明しました。

これに続いて、岩田さんは、シェアード・リーダーシップについて述べておられます。「シェアード・リーダーシップ(SL)とは、パートナーシップ・リーダーシップを、より広く、メンバーに当てはめて、チームメンバー全員がリーダーシップを発揮し、リーダーの役割を共有している組織の状態です。SLは、近年、ビジネス業界で注目されている考え方で、環境が変化しやすい時代においては、複数人がリーダーシップを発揮し、多様な考え方や価値観に基づいて、業務を行うことが有効とされています。SLを採り入れると、チーム全体のモチベーションが向上するだけでなく、プロジェクトを円滑に進行させることができ、チーム全体のパフォーマンスを高めることができます。

また、チームメンバー一人ひとりが、『組織のミッションを自分のことと考え』ており、グループ内の知識の融合が積極的に行われ、リーダーシップを取ることで、高い成果が得られます。これからは、リーダーは、一人ひとりのメンバーに、『自分のビジョンは何か』、『自分は何をしたいのか』を語らせることが大切です。(中略)ただし、SLを効果的に適用するには、質の高い明確なコミュニケーションや、メンバー間の信頼が必要です。また、各メンバーがリーダーシップを取ることに慣れていない場合、最初は混乱や摩擦が生じることも考えられます」(104ページ)

メンバー全員がリーダーシップを発揮している組織は、その成果も大きいということは、容易に理解できると思います。しかし、メンバー全員がリーダーシップを備える状態にすることは、一朝一夕には実現することは難しいので、SLが発揮できるようになるまでは、それなりの労力が必要になります。また、それが実現した後も、「質の高い明確なコミュニケーションや、メンバー間の信頼が必要」になるので、そのための労力も求められます。

とはいえ、「環境が変化しやすい時代においては、複数人がリーダーシップを発揮し、多様な考え方や価値観に基づいて、業務を行うことが有効」であることも間違いないわけですから、SLを採り入れた組織づくりを避けることはできなくなりつつあるとも言えます。したがって、難易度は高いものの、事業活動の競争力を高めるために、メンバー全員にリーダーシップを習得させることが、これからの経営者の重要な役割になっていると言えるでしょう。

2024/4/12 No.2676

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