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四則演算でつまずくかどうかが人生の岐路だったりもする

英国紳士からの意見-計算力っているの?-

毎週話すオンライン英会話の先生がいる。イギリス人のJames先生、50歳でロンドンの投資銀行を辞め、子育てもひと段落した現在は、教員資格を取得し、ボツワナで教壇に立っている異色のキャリアの方である。社会経験豊富で教育にも並々ならぬ情熱を持っている。

最近、そのJames先生と熱い議論になった。(拙い英語で伝わらないために自分が熱くなっただけかもだが。。)

テーマは「幼少期に計算力を身につける必要はあるか?」

James先生の意見は「(あまり)必要ない」とのこと。そして、根拠として興味深い絵(出所不明)を送ってくれた。

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図にあるように、我々は小学校、中学校、高校、大学と進学するたびに、難しい数式を用いた計算を勉強する。しかし、多くの人にとって、仕事でこれらを使うことはない。数字を扱うことの多い金融の世界ですら、M&Aの企業価値算定、資金調達時の発行する債券のイールド、上場時の株価の算定も複雑なデリバティブのプライシングも、スプレッドシートのモデルに条件をインプットすれば適切な数字は算出できてしまう。最低限の計算ができるようになればそれで良い。計算力を磨くより、幼いうちから、4C(Critical thinking、Creativity、Collaboration、Communication(批判的思考、創造性、協働、コミュニケーション)などの非認知スキル、ソフトスキルを磨いた方が良い。これがJames先生の論旨である。

私がこの絵を見て反論したこと

1. 計算(算数)力は積み上げだ
絵にも示されているように、計算(算数)力の始まりは四則演算である。ここから徐々に、それを利用した図形の面積、方程式、三角関数とより高度な計算へと進んでいく。逆に言えば、最初の四則演算でつまづくと、その後の計算(算数)力の向上は茨の道になるかもしれない。幼少期に高いレベルの四則演算を身につけることで、その後の高度な計算へ移行がスムーズになる。

2.ユーザーになるかクリエーターになるか?
確かに、社会に出ると専門的な仕事でない限り、James先生の言う通り、複雑な計算をことは求められない。しかし、それは「ユーザー」であるならばである。上記の金融の実務例で言うと、私は(James先生もそうだったかもしれないが)、デリバティブのプライシングのために数字をスプレッドシートにインプットして、解を出すだけの「ユーザー」だった。しかし、本当に重宝されて価値が高いのは、スプレッドシート上のモデルを構築した「クリエーター」だった。モデルを構築するためには大学院や博士レベルの計算が求められる。こうした人たちは日本のみならずロンドン、ニューヨークで引く手数多となっている。これは何も金融の世界だけではない。Googleの創始者であるラリー・ペイジもセルゲイ・ブリンも数学の博士である。検索のアルゴリズムを構築するために高度な計算を用いている。Googleで検索する「ユーザー」であるならば必要ないが、そのアルゴリズムを作る「クリエーター」には高度な計算が求められるのだ。当然ながら、「クリエーター」となる方が世の中へ大きな貢献ができる。

少し強引な論理かもしれないが、四則演算を幼少期に身につけることで、子供が「クリエーター」になる可能性も開くのではないかと言うことを伝えた。(当然、アートクリエーターのような芸術の分野はまた別の話である)

幼少期に楽しく効率的に四則演算を習得する意味

しかし残念ながら、算数は子供達にとって複雑な気持ちを抱かせる教科のようだ。下記の調査によると好きな科目でも、嫌いな科目でも1位である。

つまり、算数好きと算数苦手が二極化しているということである。

算数の苦手な子に何が起こっているのだろうか?

算数は積み上げであるが故に、算数嫌いは四則演算に起因するというのが個人的な見方である。四則演算でつまづく子はその後も算数に苦手意識を持ち、嫌いになってしまうのではないか。さらに言うと、文科省の定める指導要領にも要因があるように思う。小学1年でたし算・ひき算、2年でかけ算、3年でわり算を学習するように定められている。四則演算が重要なのはその通りだが、3年間は長い。娘は今3年生だが、学校での算数のイメージは計算ドリルの反復となってしまっている。機械的でつまらない計算ドリルに飽きている子が、算数嫌いになってしまうとしたら、あまりにももったいない。

「積み上げである」算数、その第一歩である四則演算を楽しく短期効率的に学ぶことができれば、「算数嫌い」をなくし、自身のその後の人生の可能性を高めることにつながるのではないだろうか。

そろタッチ公式HP: https://www.sorotouch.jp

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