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小説「メジャー・インフラトン」の描き始め(第1部作です。)その21
こんにちは、あおっちです。
皆様いかがですか?
いよいよ冬本番で関西も突然寒くなってきましたね~😊(12/11現在)
秋🍁が無くて突然、冬って感じ☃️
新たにフォローをしていただいた皆様、
引き続きスキ♥️していただいた方々有難うございます🙂↕️
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前回のその20では、「メジャー・インフラトン」の第2部作~第6部作は、
余計に発生した部作って事をご紹介しました。
ようやく第6部作の第7章をNolaノベルにUp!第8章を執筆中です。
ところで、何気に「メジャー・インフラトン」をググってみると、
ビックリ😮
自分の「メジャー・インフラトン」がアルファポリスとNoteで連載中
と検索表示されました。知らなかった~リンクしてたのねぇ。
えっ?有名になっちゃったの?と勘違いするよね~😊ってないない。
でも一瞬、電車の中で「えxxxxxー!」っと焦りました😥
皆さんは知ってましたよね~。
あおっちは知りませんでした。ホンマにビックリ😮
あはは😁
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第1部作テキスト、「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
第12章 「シーラス・日本 奈良橿原参謀司令本部。」(後編)
のあらすじ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
参謀司令本部で作戦のすり合わせをしている小林未央・シーラス
大佐と女性大佐。
女性大佐は、南華子シーラス大佐(実はノーラ・アバター)なのだ。
最近、統合コンピューターの「シーラス・マザー」の不調が続く中、
最近重なって起きた事件の対策を練っていた。
いよいよ、小林たちの問に対し支離滅裂な回答が続くAIシステムの
「シーラス・マザー」。
ハックした何者かが動揺するような事が起きている証明でもあった。
「シーラス・マザー」から「β(ベータ版)シーラス」へAIシステム
を切り替える小林。
女性大佐が突然動きを止め、「シーラスマザー」に同期を始める。
小林は「βシーラス」と問題の考察と追及を始めたのだった。
小林大佐は、CIAがチャイニーズ・アクシスの傀儡になったことに
憤慨し、シーラスマザーを操作する者の特定をした。
そんな中、月の異星人のジャンプ制御塔の「ジェーンの塔」付近から
救助カプセルを定期航路を運航中の自衛隊のスペースシャトル・オー
ビターが救助したが、その後、連絡不能になった。
しかし、緊急航路を知っている身内の杉山機長があえてこの時代では
使用されない緊急航路を手動で航行し全員の無事を伝えて来たのだ。
時を同じくして月観測所のフランクリン博士とマッカラン博士が、
何者かに襲われたが、潜入したシーラス且来清美少佐に無事に
保護されたと報告が上がって来ていた。
ハワイの観測所にいた2人の博士の行方はいかに。
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第13章 「ノーラ叔母さん。」(前編)
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夜の地球の衛星軌道上に巨大な宇宙戦艦の2隻が浮かんでいる。
2隻はゆっくりお互いに接近していた。ランデブーをしようとしていたのだった。そのランデブーの片方、巨大な宇宙船。
中世ヨーロッパの地球、騎士が所持するような両刃の刀の様なシンプルな構造の巨大宇宙母艦だった。
その母艦の広いガラス張りの会議室のような広い部屋で、金髪おかっぱ頭の肥満した男が腕を組んで、大きなガラスからゆっくり迫る巨大な重武装の急襲宙空母艦(クィーンエリザベス三世)をぶつくさ文句を言いながら見ていた。
普通の地球人なら、SF映画に出てくるようなこの景色。
大いにこの特別な境遇を驚き、喜び、逆に楽しむ人もいるハズだがこの男の感性は普通人とはかけ離れているのかもしれない。
突然、怒り始めガラスを殴った。
「チクショー!殺されてたまるかっ!(ゴンッ)痛たぁ~チキショー!」
そのうるさい声で、重厚な椅子に座り気絶していたスージー・マッカラン博士が目を覚ました。
「ウ~ン……。えっ?ここ、どこぉ?えっ。」
そして、ガラスの会議室の周りを見渡した。
大きな窓を見ると眼下に迫る地球と、ゆっくり迫ってくるビルが横倒しになったような物凄く大きい宇宙船がスージーの目に飛び込んできた。
起きざまに、大きな口を開けて、額に手を当てて驚くスージー・マッカラン博士。
「ワ~オ!……ヘイヘイヘイッ!アニー!アーネスト!今さら、何を騒いでるの!私たちに何が起きているか解らないのに!私はまだ死にたくない。お願いだから静かにして!なんで殺されるかもしれない場面で、こんな男と幽閉だなんて。ここはどこなのよ!全く!」
のっそりと、立ち上がってから腰をテーブルにあてるスージー。
両腕、両足を組んでからヲタクに文句を言う。
「宇宙なの。どういうこと!アニー!地球がこんなにきれいに見えるのに。喜んでいいの!恐怖に震えた方がいいの!」
後ろの左右を振り向くスージー・マッカラン博士。
ガラス会議室の前後2か所の廊下側入り口に立つ、西洋の甲冑風の上品なホワイトにゴールドの装飾をしたスラっとした機動歩兵・ロボスーツWALKERの衛兵2体を睨んだ。
バストの膨らみが有り、どう見ても女兵士だった。
微動作にせず立っている。
スージーが腰をテーブルから離し、その衛兵を凝視しながら、その太っちょオタクに話し始めた。
「目が覚めると、驚きの連続って。ワ~オ。アーネストが好きなアニメの世界じゃないの?ねー?聞いてる?アナタのオタク知識を駆使して……。」
つかつかと窓際から離れて、直接スージーに食って掛かる中年ヲタ。
大きく窓を指さして震えながら叫んだ。
「うるさい!こ、このアマ。俺だってビビってる。ビビってる!外の宇宙空間見て見ろ!これが夢でも、妄想でもない現実だ!ここは地球の衛星空間だぞ!バカ女っ。俺達ゃ、宇宙空間にいるんだぞ。重力がある大戦艦に乗ってるんだ。宇宙って無重力じゃないのか!」
そして、アーネストは床を脚でドンドン踏み付けながら、両腕を広げた。
「なんで、俺はこの床に立ってるんだ!いつの間に人類は慣性制御できる科学力をもったんだ!それともここは宇宙人のマザーシップなのか?でも入口の上の“EXIT”て、英語じゃないか!それとも新手のゲームセンターの仮想空間に居るのか俺達は?だけど、このEXITの表示板だって普通のビルやショッピングモールににある素材じゃないのか。どこの国の宇宙戦艦なんだ。いつの間に開発していたんだ!こんな凄いSF映画みたいな空間があるなんて。ここは本当にゲーセンじゃないのか?俺達をだまそうとしているのか。全く訳が解らん。」
振り向いて“EXIT”の文字を見つめるスージー。
そのスージーに食って掛かってから落ち着いたのだろうか、一息ついてから普通に話始める太っちょヲタク。
「スー?何が起きたんだ。さっき起きた事、覚えてるだろう。スー。説明してくれ。」
太っちょヲタクの前を歩き、窓際に進むスージー・マッカラン博士。
窓際で止まり、両腕を付いて外の雄大な宇宙の景色や近づく宇宙戦艦を、厳しい目で見始めた。
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そんなスージーの後ろ姿を見て、眉を上げて両手を広げるジェスチャーをしてから、スージーの横に立つアーネスト・フランクリン博士だった。
異様な外の景色を見ながら、なんとも言えない表情で話始めるスージーだった。
「感動したらいいのか、泣いたらいいのか、笑った方がよいのか。命乞いで、神様に祈ったらいいのか。でも目の前で近寄るのは宇宙船だよね。どう見ても武装した宇宙戦艦。そして私達まだ、生きてるよね。観測所でのことを思い出すと、アニー。アニー?最初に侵入してきた忍者みたい奴ら。ヒソヒソと話してた、あれ中国語だった。間違いなく中国語。」
「CIAやアメリカ軍が、ハッキングしてきて俺達パニックってるときな。突然、戸が開いてスモーク弾で煙幕貼られて……。」
手首をテープで巻かれて、拘束された時のアザを見る2人。
スージーが目を閉じて思い出していた。
「あのスパイスの効いたラー油臭い匂い、体臭、絶対チャイニーズだよね。暗闇で足を払われて床に顎ぶつけた。これっ。ふふふっ。青あざ出来てる?」
笑いながら太っちょアニーに、床に倒された時、床に下あごをぶつけた青アザを見せるスージー。
顔を上げたり、下げたりしてスージーのあごの青あざを見るアーネスト。
「俺は、床に倒された時、メガネが壊れた。なっ。」
レンズが抜けた片方のメガネの右枠に人差し指を入れてにっこり笑うアーネスト。
「そして俺は目隠しされた。ええっと、」
メガネを外し、目頭を押さえて、目をつむり記憶をたどるアーネスト・フランクリン博士。
「床に倒れた俺の背中を、そうだ足で背中を抑えられて、手首をぐるぐるテープで巻かれた。ん~それから無理やり首をもたれ~立たされた。結構痛かった。アイツら!アイツらに、背中をドンドンッと硬い棒で、恐らく銃か何かに押されて、観測所の外に出たんだろうと思う。ヘリか何かの物凄いタービンエンジンの音がしてた。その直後、俺は誘拐されるのか、殺されるのか?と思ってた時、その時だ!大爆発の音がした。大きな音で鼓膜が破れたかと思った。真っ暗で良くわからないが、至近距離で俺達を誘拐するヘリかS-VTOLが爆発したんだろう。結構熱かった。火傷したんじゃないかなと。」
右肩や腕をさすり、注意深くみるアーネスト・フランクリン博士だった。
「私も目隠しされたから解らないけど。熱かった。私も左肩から倒れたの。」
肩をさするスージー。そして、肩の打撲のあざに触れて、激痛に顔をゆがめた。
「オーッ!痛っ!もう。ここを打ったのか。痛っ。」
優しく肩をさすりながら苦笑いするスージー。そして話を続ける。
「その後、誰かが(動かないで!)と。そう、そう短時間だけど銃撃戦があったわ。物凄いなんというか、物凄い早い速度のモーター音と発射音。音だけだったけど、物凄い数の薬きょうって言うの?薬きょうが私に降って来た。顔や頭、そう、そう!耳に当たって熱くて、痛かったわ。そして何かが燃える音と熱が結構熱く感じた。とにかく、金属やナイロン、ゴムかなんかが、焼ける臭いがすごかった。ツーンとする臭いが物凄かった。」
腕を組んで真剣に聞くアーネスト。
「倒れた私を、なんかの機械が起こしたの。そして、スピーカーの声が耳元で、(博士、大丈夫ですか?少し辛抱してくださいって。)女性の声で。何か聞き覚えがある声。誰の声だろう。聞き覚えあるわ。そして、お嬢様抱っこを、たぶん機動歩兵、ロボスーツじゃないのかなっ。鉄みたい硬い……かたいプラスチック?みたいな腕で抱かれて。思いっきり急上昇されたのよ。物凄い風とスラスターロケットとか、バーニアって言うの?その噴射音なのかしら。気絶したわ。気が付いたら、このガラスの部屋よ。その重厚なソファーで気が付いたわ。貴方が大声あげて怒ってるの。窓を殴って!あははっ。」
「俺は、横で爆発されて。そのまま気絶したんだろうな。気が付いたらこの部屋で、目の前にその椅子で寝てるスーがいたな。だから……俺達は助けられたのか?どう考えても。」
「でも、油断は禁物よ。アニー。」
「まぁな。……うーん。」
2人の目の前、それもいよいよ間近まで大接近して来たクイーンエリザベス三世。
上下左右と見始める2人。
その2人の前では、ランデブーをサポートする小型船が動き回る。
戦艦から規則正しく並ぶ何本ものランデブー接続チューブが伸びていた。
各々が直径20メートルは有にある大きなトンネルの様なチューブだった。
チューブの中で宇宙服を着た作業員が動いている。
その奥からコクピットを開けたまま歩いて来る巨大な機動モービルHARMOR。
「ワ~ォ、ワ~ォ!アニー。本物のロボット、HARMORとかでしょ?ワ~ォ、凄い。」
初めて見る実物の歩く機動モービルを見て、目を合わせる2人。
「ワ~オしか出ないな。この目の前の物。ホントかよ。俺たちSF映画の中にいるみたいだ。映画のセットのように撮影場所だけでなく、全てが本物だ。ワ~ォ。マジかよ。」
そして、飛び交う作業員を目を細め追いかけて見た。
その時、2人のガラス窓の足元から宇宙服を着た作業員が出て来た。窓の下から、恐らく2人のすぐ下に居たのであろう、宇宙服を着た作業員が2人のいる窓の正面に浮かんで来た。
驚いてガラスに額を付けて見る2人。
その腕や背中、バーニアのランドセルには数々の同盟国の国旗のシールが張られていた。
2人の、口がだんだん大きくなっていく。
日の丸と旭日旗が一番大きなシールだった。その下には、アメリカの星条旗。英国のユニオンジャックや、フランスのトリコロール。ポーランドの白と赤。そんな同盟国の国旗シールが、スージーとアーネスト達の目に飛び込んできたのだ。
その作業員はシュッとバーニアを吹かしてゆっくり離れて行った。
口を大きく開けたまま驚く2人。
そして、笑顔になるのだった。喜びの眼で、目を合わせた。
「ひ、日の丸だって、スー!」
「ええ。星条旗だってアニー!」
「紅白ってポーだろ!」
「ユニオンジャックやトリコロールも!」
( やったー!助けられたんだ!やったー! )
抱き合って飛び上がって喜ぶ2人。
そこで、両方の会議室ドアーが開いた。
( シュッ!シュッ! )
抱き合ったまま振り向く2人。
左側の開いた入り口から背広を着た一人の青年と初老の女性が歩いてきた。
右側のもう1つのドアーからは、ニコニコとした老夫婦と、老夫婦の後ろからリュックサックをした若い女の子が両手を上げてスージーに向かって走って来た。
保護された両家族の再会だった。
アッと我に返り、思わず離れる2人だった。
「あー!マム~!マム!」
「オ~!シンディ!」
抱き合ってお互いの無事を確認するスージー親子。娘のシンディの後ろにはスージーの両親が近寄って来た。
「あ~マム!あ~ダディ!」
走って行って、両親とハグするスージー。
「でも、ダディやマム、シンディーもどうして、ここに?」
「あなたこそ、なんでシーラス軍に保護されたの?」
「えっ?シーラスの宇宙戦艦だったの。」
「そうよ。軍人の皆さん、丁寧で。良くしてくれたわ。難しい話は後で、責任者の人が話してくれるって。」
落ち着いて話すマッカラン夫妻、そして娘のシンディがスージーの手を引いた。
「ママたち、何か大変な事したの?NASAの機密盗んだとか。」
「違うわ……。でも、そうなのかなぁ?」
そんなマッカラン家族に対して、フランクリン家族は、騒がしかった。
「なんで、親父!俺たちここに誘拐されたんだ?理由説明してくれ。それに離婚した母も一緒なんて。銀行マンの俺が、宇宙に関係する何か、あるのか?親父。」
再会した第一声で、可愛くない事を父にいう背広姿の息子のロベルト・フランクリン。
勤務する銀行で勤務中に、シーラスの機動歩兵のWALKERに詰め寄られここへ連れてこられた。
6月の月末近くで、7月の引き落とし当座預金のチェック中だったらしい。
ロベルトの勤めている銀行の本店では、突然現れたアメリカ宙軍のパワードスーツ部隊に大騒ぎだったらしい。
「そういうな。ロベルトしばらく振りの再会じゃないか。」
仕方なく両頬にキスの挨拶をする息子のロベルト。そして、後ろの夫人に挨拶するアニー。
「しばらくだな、ミス・トンプソン。」
わざとミスをつけて、嫌味な挨拶をするアーネストだった。そして別れた妻と握手をする。
「あなたの嫌味を聞くためにここへ、わざわざ、大げさな飛行機と大げさな軍隊に囲まれて、息子と2人で連れてこられたのかしら。」
大げさな飛行機とは、アメリカUSASFの大型武装オービターと機動歩兵WALKERの1個中隊を指していた。そして笑顔から真顔になり、その夫人は人差し指で、アーネストの顔を指しながら大声を張り上げた。
「もう、うんざり。やっとヲタク○チガイの事を忘れられたのに!何てこと!なんで、ヲタクが私の目の前にいるのよ!あなた、知ってるでしょう!私は遊園地の乗り物がダメなの。それなのに大げさな飛行機が加速して、吐きそうなのを何度我慢したか。騒ぐ私を勝手におかしなガス吸わせて気絶させて!失礼な軍隊。えっ!あなたにわかる?ましてや、ヲタクが好きな宇宙船で感動の再会って!もう人生で最低最悪の体験!わたしは静かに暮らしたかったのにぃ!どう責任とってもらえるの!えっ?家に帰して!私を家に帰しなさい!」
「こちらこそ、その醜いアル中ババァを呼んだ覚えないわ!俺の目の前からさっさと消えろ!」
とっさに2人の間に割ってはいる息子のロベルト。
「2人共、他の家族も見てるし、いい加減にしないと。」
( お前には関係ない! )
声を合わせて息子に文句を言うアニーと、元妻だった。
「フンッ!」
「フンッ!」
意地を張った2人は腕を組んで反対を向いた。
やり場に困る息子のロベルト。
そのロベルトがスージー家族と目が合い、照れて両肩を上げ、両手を開いた。
とにかく母を椅子に座らせた。
そんな3人を唖然として見るマッカラン家族。
なんとなくバツが悪くなり、会議テーブルの椅子に座って話始めた。
娘のシンディが心配して母親に聞いた。
「ねぇママ、ママッ?さっきあの叔父さんと抱き合ってたけどぉ……。」
「シンディ?あははっ!勘違いしないで。なんで私、あんなヲタクと。彼は月面観測所のスタッフよ。2人で、この部屋で目覚めて。ここに誘拐されたか、それとも助けられたか解らなくってね。」
孫の頭をなでながら、娘のスージーの話を聞く母のヴェラだった。
「それで窓を見てたら、日本国軍やアメリカ軍の国旗を見て、(助けられたー!)って、喜んでただけよ。あははっ。」
「そうよね!ママの趣味じゃないわね。」
窓の近くで立っているヲタクを見ながら笑うスージーと母のヴェラだった。
「ママ。私たちも近くで見よう。ジジも、ババも!」
母親のスージーの手を引く娘のシンディー。
「フフッ。ママはここでいいわ。うふふっ、3人で見てらっしゃい。」
母の顔になり、笑顔で手を振るスージー。
「どれ、どれ、よっこいしょ。」
孫が可愛くって、仕方がないスージーの両親。
悪い膝をいたわりながら立ち上がるスージーの父親のフリードリヒ・マッカラン元宇宙物理学教授。
優しい父母はいつも孫のシンディーのいう通りに合わせてくれる。
有事での対面とは言え、しばらくぶりに娘と孫に会えたのだ。
楽しくって仕方がない老夫婦だった。
窓の近くに寄って行くそんな老夫婦と娘を優しく見るスージー。
部屋の先では、アーネストの息子がしゃがんで怒った母を説得しているように見えた。
すでに窓全面にランデブーを終え、細かな作業をする作業員クルーたちがクイーンエリザベス三世の周りで飛び廻っている。
物凄い迫力の景色を、シンディーと両親が目を輝かせ見ていた。
そして、そんな年老いた自分の両親たちから離れた所で、さびしく一人で窓の外を見るアーネスト・フランクリンがいた。
「ふっ……全く。アニーったら。」
そんなアーネストに呆れながら、ゆっくり歩いてアーネストの横に立つスージー。
アーネストの肩を軽く叩いた。
アーネストは残った片方のメガネのレンズを、シャツの裾で拭いてからメガネを掛けて、チラッとスージーを見た。
「あははっ。まぁ、人生色々だ。恥ずかしい所を見せてしまった。スー。」
「……うふふっ。でも、生きているからだよね。人、それぞれ人生色々。気にしないでアニー。」
( シュッ! )
振り向く、両家族たち。
ガラスの自動ドアが開き、そこには屈強な女性兵士が立っていた。
青と水色を基調とした迷彩の戦闘服で、青いベレー帽を被った背の高い女性兵士だった。
敬礼をしてから会議室に入ってきたのだ。
同時に広いガラス張りの会議室の照明が、上品につき始める。
会議室の前面中央で再び敬礼をする女兵士。
「それでは、フランクリン、マッカラン両家族の方々へ現状説明を致します。では、両家族を保護した責任者より説明があります。それでは少佐。」
( シュッ! )
再びガラス戸が開き、黒の上下の上級士官制服を着て、色白のスラッとしたアジア系美人士官が入って来た。長い髪を結い上げた上に制帽を被っている。
入れ口でビシッと敬礼をした。
膝までのスカートからその端正な長い脚が出ている。
2家族が見る中、その中央まで上品に歩いて来た。
「ありがとう大尉。」
敬礼をする戦闘服の女性兵士。部下に礼を言った後、檀上で部下と入れ替わった。
そして、正面を見て再度敬礼をした。
正面の壁中央に「 S I R U S 」の文字が、浮かび上がった大きな3Dモニターが起動した。
その女性士官に気が付くアニーとスー。
「あっ!あ、あっ。きよみっ!きよみじゃないか!」
「えっ!あっ且来清美博士。ええ~?和歌山大学の彼女がどうして?軍人だったの~。ワ~ォ。」
飛び上がるほど驚く太っちょアーネストと、スージーだった。
ニコニコとした大柄な女性兵士が、その2人をサポートして、椅子に座らせた。
アニーとスーを見て制帽の下から、ニッコリほほ笑む且来清美少佐だった。
「はじめまして、皆様。そしてそこの2人……ふふっ。」
2人を見て改めてニッコリ微笑んだ。
「私は皆様をチャイニーズアクシスの脅威から皆様を保護しました、少佐職の且来清美と申します。私はシラス加盟国軍、通称シーラスの者です。今はUSASFアメリカ宙軍に派遣されています。本職は急襲打撃群HARMOR、いわゆる巨大ロボットの機動モービルおよび機動歩兵WALKERに乗る救急救命士です。本職では医学博士をしております。もちろん大学は日本の和歌山です。」
「ワ~ォ。きよみはお医者さんだったんだ。えぇ~!」
また、アーネストの声が耳に入り、ニッコリ微笑む且来少佐。
「皆様が搭乗しているこの宇宙戦艦は、シーラス急襲打撃艦隊群、通称第21太陽系防衛機動部隊のアメリカ合衆国USASFの旗艦(カサブランカ)です。艦隊司令はジョナサン・メイザー・オースティンUSASF上級中将です。私は、臨時で現在、オースティン中将の秘書官をしています。常駐しております。お見知りおきを。」
口を開けたまま話を聞いている太っちょアーネストとスージーだった。
「このカサブランカは、ネイジェア星域皇国の最先端の艦で、2年前にネイジェア星からアメリカ宙軍に譲渡された宙空機動艦です。宙空、簡単に言いますと宇宙空間と地球型大気圏を航行できる戦闘空母なのです。全長894メートル。全幅259メートルの大きさですので、みなさま迷子にならぬようお願いいたします。もしも、迷子になられたら……。」
両家族にレクチャーをする且来清美少佐。
そんな彼らと同時進行でカサブランカと巨大機動母艦クイーンエリザベス三世のランデブー後の作業が続いていく。そして、その巨大2戦艦の周りには、続々と世界各国の巨大な宇宙戦艦と母艦が集結していたのだった。
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本日も、お読みいただきありがとうございました。
それでは、次週お逢いましょう😁
風邪ひかないでね🤟
あおっち
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