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外食産業での精神障害発病防止へカスタマーハラスメント対策強化を|気ままに労働雑感

政府は10月26日、令和3年版過労死等防止対策白書を閣議決定しました。
そのなかで、過労死防止対策大綱において重点業種に設定されている外食産業の調査・研究結果を報告しているので、少しご紹介したいと思います。

白書では、平成22~30年度に外食産業(飲食店)で労災支給決定された脳・心臓疾患151件と、精神障害172件についての分析結果を明らかにしています。
精神障害事案のうち、自殺(未遂を含む)に至ったのは22件に上っていて、それらの心理的負荷に関する具体的出来事をみると、「1カ月に80時間以上の時間外労働があった」が6件で最も多いほか、「嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」「上司とのトラブルがあった」がそれぞれ4件あり、「顧客や取引先からクレームを受けた」も2件ありました。
長時間労働やパワーハラスメントだけでなく、カスタマーハラスメントも自殺の発生に影響を及ぼしている様子がうかがえます。

白書では、全国の外食産業の企業と労働者を対象に実施したアンケート結果も明らかにしています。
それによると、業務に関連したストレス・悩みとして「顧客からの過度の要求」を挙げる労働者は、15.6%と少なくありません。

また、スーパーバイザーや店長、店舗従業員などのうち、顧客から理不尽な要求・クレーム、暴言・暴力を受けることが「よくある」または「たまにある」人の割合が4割近くに上っています。
一方、これら理不尽な要求などへの対策状況をみると、約4割の企業が「特になし」と回答しています。

現在は、全国的に新型コロナウイルスの感染状況がやや落ち着いてきており、飲食店にとっては顧客増加が期待されているところです。
しかし同時に、カスタマーハラスメントの発生も心配されます。
外食企業においては、大切な人材を守るためにも、企業としての対処方法などの検討を急いでほしいと思います。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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