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自殺者「女性増」「男性減」の不思議|迷想日誌

三原じゅん子厚労副大臣をリーダーとする「コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム」がスタートしました。
コロナ禍では、女性の雇用・生活に打撃を与えています。象徴的な自殺者の令和元年から2年の状況を確認してみましょう。

元年の自殺者総数は、10年連続の減少のほぼ2万人(統計上過去最少)で、そのうち女性は6091人でした。
これに対して、2年の速報値によりますと、女性の自殺者は6976人と一転して急増となっています。
前年比14.5%の上昇です。一方、男性の自殺者は、僅かですが何と減少しました。
元年の1万4078人から約130人減少の1万3943人となったのです。

厳しいコロナ禍の最中だった2年の男性自殺者が前年比ほぼ横ばいだったのは、不思議な気もしますが、考えてみればテレワークなどの拡大で通勤が不要となったり、家族と一緒の時間が増加したり、さらには郊外の自然との接点が増えるなどで、全体としてストレスが大幅に少なくなったとみれば、納得がいきます。

これは、大きな発見です。男性のストレス、自殺者を減らす方法がコロナ禍で明らかになったということです。
毎日長時間の通勤に耐え、会社では上司や同僚に気を使い、長時間残業を経て夜遅くに帰るというパターを繰り返していたら、当然ストレスが溜まります。コロナ後もテレワークを定着させ、出社ストレスを軽減すれば、男性の自殺は増えないとみることもできそうです。
自殺大国、過労死大国の汚名をはらす発見です?

ちょっと道をそれましたが、女性の自殺者の増加に対して、同プロジェクトチームは、厚労省の情報発信の仕組みを改善し、ホームページ、メルマガ、ユーチューブ、Twitterの効果的な活用を図って、コロナ禍で活用可能な支援政策をアピールするといっています。
発信力のあるオピニオンリーダーをスピーカーに招くことも考えています。

ただ、このような小手先の対策で救えるかは疑問です。
今回の経済の落ち込みは、運悪く、消費税増税に続いてコロナ禍に見舞われたのが要因で、人災の面もなくはありません。
これによって、飲食、宿泊などのパート、アルバイトが真っ先に切られてしまいました。
雇調金で救われているうちに、思い切った経済対策を打って早期に立て直さないと、女性ばかりか男性の自殺もこのままでは済まないかもしれません。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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