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コロナショックの雇用ダメージ|迷想日誌

コロナショックに見舞われた令和2年の毎月勤労統計調査速報が公表されました。
予想どおり、賃金、労働時間、雇用など全般にわたってダウンとなっています。
とくにパート労働者へのダメージがめだちます。今後の経済全体にもかかわってきますので、その概略をご紹介します。

まず、賞与などを含む現金給与総額は31万8299円で、前年比1.2%減となりました。
とくに、所定外給与は1万7352円で、同12.1%減です。所定外労働時間は9.2時間、同13.2%減でした。
現金給与総額は、2年連続で前年比マイナスですが、1.2%減はリーマン・ショック時の3.8%減以降最大です。

実質賃金指数は、平成27年を100とすると98.6で、同1.2%減となりました。
実質賃金指数は、「失われた30年」に象徴されるように、長期下落傾向が続き、国民の購買力がどんどん失われてきています。平成2年の実質賃金指数は110.2でした。

今回のコロナショックで、ダメージが大きかったパート労働者をみますと、まず雇用の喪失がめだちます。
常用雇用指数(平成27年=100)の一般労働者は107.7、同1.6%増となりましたが、パート労働者は112.1で、同0.3%減です。
一般労働者は7年連続で増加した一方、パート労働者は調査を開始した平成2年以来初めて下落となっています。
ここ数十年にわたって一貫して拡大してきたパート労働者比率も31.14%となり、同0.39%減となり、一旦歯止めが掛かりました。

ただし、パート労働者の賃金は引き続き増加を維持しています。時給は1213円で、同3.9%も高くなっています。
コロナショックでは、飲食、宿泊などのダメージ分野でパート労働者の削減が進む半面、雇用維持したパート労働者や他業種のパート労働者においては時給が上昇したことになります。

全体として、賃金水準の低いパート労働者比率が減少したにもかかわらず、産業計の実質賃金が低下しているところをみますと、購買力の明らかな減退による消費行動の消極化が予想されます。
これに対する有効な施策はただ一つです。国がテコ入れするしかありません。
現局面で誤った経済政策を行うと、日本経済は「失われた40年」に伸びてしまいます。
国民全体の疲弊を考慮し、部分救済ではなく再度の一律定額給付が必要です。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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