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合理的配慮に関する相談が増加|気ままに労働雑感

障害者雇用促進法によって事業主に義務付けられている「合理的配慮の提供」について、障害者本人などから全国のハローワークに寄せられる相談件数が増加していることが、厚生労働省の集計から明らかになりました。

相談が増加した背景として厚労省担当者は、「改正障害者差別解消法の施行に背中を押された障害者がいたほか、法定雇用率の引上げに合わせて初めて障害者を雇用する事業主において、合理的配慮の提供まで意識が至らないケースがあった」と指摘しています。

今年4月施行の改正障害者差別解消法では、すべての事業者に対し、顧客や店舗利用者などである障害者に対する合理的配慮の提供を義務付けました。
令和5年度には同法の施行に向けて周知が進んだことで、職場における合理的配慮に対する障害者の意識も高まり、障害者雇用促進法に関する相談が増えたというのです。
今後も改正障害者差別解消法の認知度が高まることが見込まれるため、それに伴い、職場における合理的配慮に関する相談もさらに増える可能性があります。

障害者からの相談を受けてハローワークが事実確認を行った際に違反が見つかれば、事業者は「助言」などを受けることになります。
障害者を雇用する企業においては、改めて合理的配慮の提供義務に注意を払っておきたいところです。

合理的配慮の具体例や提供までの手続きについては、厚労省の指針(「合理的配慮指針」、平成27年3月25日厚労大臣告示)に示されています。
具体例として、肢体不自由の障害がある者に対し、机の高さを調節して作業を可能とする工夫をすることや、知的障害者に対して本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やすこと、精神障害者などに対して出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮することなどが挙がっています。

実際には障害者本人との話し合いを通じて、措置の内容を検討していくことになりますが、企業においては、あらかじめ、具体例を確認しておくと良いでしょう。

労働新聞編集長

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