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労働新聞編集長の気ままに労働雑感

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2022年6月の記事一覧

健康づくりを通じて行動災害防止を|気ままに労働雑感

小売業や介護施設など第三次産業における労働災害増加を受け、厚生労働省は今年5月、とくに増加の顕著な転倒・腰痛の防止・予防対策に関する検討会を設置し、議論を開始しました。 6月19日に開いた第2回会合では今後の論点として、(1)安全衛生教育のあり方や関係者の意識改革、(2)業種・業務の特性に応じた取組み、(3)職場における対策の実施体制の強化、(4)労働者の健康づくりによるアプローチ――などが挙がりました。 もちろんどの項目も重要ですが、注目したいのが、(4)の健康づくりによる

女性の就業促進へ制度見直しも|気ままに労働雑感

政府は6月14日、令和4年版男女共同参画白書を閣議決定しました。 共働き世帯が増えるなか、その女性の働き方がフルタイムではなくパートタイム中心となっていることに触れたうえで、昭和の時代に創設された税制や社会保障制度が、女性を専業主婦や家計補助というモデルの枠内に留めている一因と指摘しています。 多くの企業が支給している配偶者に対する家族手当についても要因の1つとして挙げました。 税・社会保障制度などのさらなる見直しが必要としています。 総務省の調査によると、有配偶の非正規雇

勤務間インターバル普及へ中小企業の認知度向上が課題|気ままに労働雑感

厚生労働省は6月2日、使用者団体や労働組合関係者、弁護士、大学教授、過労死遺族で構成する過労死等防止対策推進協議会の第22回会合を開き、現在の過労死等防止対策の実施状況について説明しました。 長時間労働者の割合が低下し、年次有給休暇取得率も上昇傾向にあるものの、過労死等防止対策大綱において認知度向上などを目標としている勤務間インターバルは、「制度を知らない」と答える企業割合が増加しているといいます。 説明を受けて、大学教授などの専門家委員や遺族など当事者代表委員が、勤務間イ

熱中症防止に積極的な取組みを|気ままに労働雑感

厚生労働省はこのほど、2021年における職場での熱中症発生状況(確定値)を取りまとめ、死亡者数が20人、死傷者数が561人に上ったことを明らかにしました。 死亡事案をみると、日頃から暑さ指数(WBGT値)を測定していないケースがめだちます。 例年7月以降に急増する熱中症の防止に向けて、職場におけるWBGT値の把握と、基準値を超えた場合の適切な対策が欠かせないでしょう。 厚労省の取りまとめによると、熱中症は建設業や製造業を中心に発生しています。 死亡災害20件をみると、日頃か