見出し画像

上達を促進!一緒に育てる自己決定力


スポーツと自己決定

自主性の重要性

スポーツにおいて、いわゆる「上手い子」と言われる部類に入る子たちに共通することは、その競技を好きで楽しんでいること、能動的に練習や試合に取り組んでいるということです。

必ずしも上手い子を目指す必要はありませんが、どうせ競技をやるなら楽しんで、技術的にも内面的にも成長できたらいいですよね。


自己決定理論とは

さて、ここでひとつ研究をご紹介します。


(株)メンタリスタ 「LOGISTA』ベーシックコースより

自己決定理論とは、『取り掛かりのきっかけは、外発的動機づけでも構わないが、徐々に内発的動機づけに向かっていくことができる』という理論です。

デシ&ライアン

内発的動機づけとは、自ら進んでやる状態で、自分の中にある好き、楽しいという気持ちなどを誘因に行動します。

外発的動機付けとは、やらされている状態で、他者からの指示、賞与や罰など外からの誘因により行動します。

学校の宿題を、親に「やりなさい!」と言われてやる気がなくなった、なんて経験はありませんか?

このように、外発的動機づけで動いている状態、つまりやらされている状態では、どうしてもモチベーションが低くなりがちです。
そして、モチベーションが低い状態では、いくら続けても、結果が出にくいということに繋がります。

なにより、本人もやらされている状態は、楽しくないのです。
それでは、せっかく頑張って続けていても勿体ないですよね。


自己決定の力

内発的動機付けへの変化

では、取り組み方を内在的動機づけに変えていくにはどうしたらいいかというと、今回のタイトルにもなっている、「自分で決める」を実行していくことが必要になります。

自己決定は、やる気を高め、結果が出やすくなることが分かっています。

テストを受けるとき、使うペンの色を自分で選択した群と、決められていた群では、前者の方が、成績がよかったという報告もあるそうです。

自己決定、自分なりの工夫、小さな成功イメージ、自分のチャレンジ、これらの積み重ねにより、やらされていたものが自発的なものに変わっていきます。

そして生まれる「もっとよくなりたい」という気持ちが、継続、楽しみ、技術向上に繋がっていくのです。


段階的な自己決定を

まずは、前述した試験で使うペンの話のように、練習で使う練習着や靴を決めることなどから、練習していってもいいかもしれません。
失敗しない程度の簡単なものを選択し、徐々になりたい自分や課題を意識した自己決定を増やしていきます。

自己決定といっても何を決定させれば…と思う方もいるかもしれませんが、難しく考えないでください。
朝何時に起きるか、何を食べるか、家を何時に出るか、何を着るか、会場に着いたらどう過ごすか、など日々には選択の機会が溢れています。

初期は、ただなんとなく行動を決めているだけかもしれませんが、徐々にどう行動したらよいパフォーマンスができるのか、競技と繋げて考えられるようになったらもっと良いです。

自分で考えて、結果が変わる経験が楽しいと思えるようになると、今度は自分で選んだものがうまくいかなくても、「なぜ上手くいかなかったのか?」を考え、それをクリアすることが楽しく思えるようになります。

トライ&エラーの繰り返しこそが、成長に繋がっていくのです。

正直、言われたことをやっている方が楽な部分もあります。
しかし、それではある程度で成長が止まってしまいますし、言われないと何もできない指示待ちロボットになってしまいます。

受け身でなく、自分で選んで進んでいく力に必要性を感じるならば、早いうちから自己決定をすることを進めていくことが重要なのです。


大人の役割と子どもの成長

失敗と成長は表裏一体

自己決定を促していく上で重要なのが、大人から見て、「こちらを選んだら上手くいかないだろう」という選択をした場合です。

AとBという選択肢があったとして、子供はBの選択肢を選んだ。
しかし、我々大人からすると、明らかにBは上手くいかないと推測できたとして、あなたならどうしますか?

我々大人が、なぜその選択肢を「上手くいかない」と判断できたかというと、自分の失敗経験、もしくは他者の失敗を見た経験から、総合的に判断することができたからです。

大人の経験則から、「そっちは上手くいかないから違う方にしなよ」と言ってしまうのは、簡単です。

一見、相手を按じている優しさのようにも見えますが、これは我々が上手くいかないだろうと判断材料にしたような学びの機会を、子どもから奪う行為です。

子どもにとっては、成功も失敗もどちらも大事な経験です。

大人が敷いた正解ばかりの道を歩かせるのではなく、自分で決めた、正解も不正解もある道を歩かせてあげてほしいと思います。


失敗経験を奪わない

子どもの失敗経験を奪わないということを、わたしは大事にしています。

子ども、教え子、チームメイト、友人にはなるべく傷つかないでほしいという気持ちは、純粋に優しく、相手を大切に思っているからこそ生まれる気持ちだと思います。

もし、子どもが自主的に選んだ選択が上手くいかなかったとして、そのとき上手くいっていないのは、この子の人生で、選んだのも本人です。

大人のわたしがちゃんと決めさせてあげられなかったから…なんて、失敗の選択をさせてしまった自分を責めるのは、お門違いです。

その時は一瞬大変でも、そこからどうするかを自分で考え、乗り越えることは、長期的に見たら未来で大きな力になります。

大事なことは、上手くいかないときに、また前を向いて歩きだせるように支えて寄り添ってあげることです。

話を聞いてくれる誰かがいること、ダメな自分でも一緒にいてくれる人がいること、それは大きな力になります。
それこそが、一番身近な大人の役割ではないでしょうか?


わたしたちにできること

ここまで自己決定の重要性について長々とお話してきましたが、とはいえ、ついつい口を出してしまうのが大人です(笑)
重要性を頭で理解しても、実際やるには不安もあると思います。

自己決定させるのは、できる範囲の簡単なことからでいいと思いますし、自分の経験上分かるメリット・デメリットを伝えてあげることや、許容範囲のなかで選択させてあげるのもいいと思います。

毎回子どもを尊重できなかったとしても、知識を持っていれば、関わり方が今までと変わってくる場面もあるのではないでしょうか?

子どもといえども、一人の別人格の人間で、あなたにとっての正解がその子にとっての正解とも限りません。

人には困難を自分で乗り越える力があります。

それを信じてあげることが、最も大切なのだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?