安いガソリンスタンド見つけた
〜愛、自由、希望、夢、足元をごらんよ、きっと転がってるさ〜
Mr.Children.名もなき詩
〜幸せなんか、そこらじゅう、いっぱい落ちてるから〜
Mr.Children.ひびき
人は時に、もうこれ以上は進めない、と諦めてしまうものだ。
車だって同じだ。
中古で買った我が愛車デミオくんはその日、普段なら点灯することのないものが、朝から点灯していた。
眩く光るそれは、「もう少しでガソリン無くなりますよ」ランプであった。
それでも私は進んだ。なぜなら、時間がなかったからだ。
人は時に、どうしようもない睡魔に襲われるものだ。
その日もギリギリに起きた私は、朝からの単発バイトに急がなくてはならなかったのだ。
して、目的地周辺のガソリンスタンドは高い。私のアパートに近いところの方が安い。
つまり、行きでスタンドに寄らないと決意せざるを得なかった私は、アパートからバイト先までの往復のほぼ全道程を、残り少ないガソリンで耐え凌がなければならないわけだったのだ。
行きは順調であった。
しかし、帰り、やけに天気良かったからクソ暑い車内と化していた我がデミオくんは、エアコンをつける他なかった。
「気にしたら負け」と、顔を歪めて熱唱しながら運転していたが、気づいたら
〜走行可能距離3キロ〜
爆音に代わり、車内には絶望感が漂った。
そして目に入ったのはセルフでもないガソリンスタンド。
セルフならまだしも、この辺りで人件費のかかるガソリンスタンドはやばい。
しかも値段表示が見当たらない。入るまで値段のわからない仕様だ。おしまいだ。しかしガス欠で進めなくなったらもっとおしまいだ。
「致し方ない、、、」入ることにした。
するとどうだろう、近頃目にした値段の中で最安値を記録しているではないか。
極め付けは、セルフではないので、ゴミまでも請求してくれたのだ。ありがたく提出した。
夢かと疑い、頬をつねったりはさすがにしなかったが、我がデミオくんは、お腹いっぱいで満足そうに帰路につくことができたようだ。なにより。
幸せというのは、そこらへんに転がっているものだ。
ゴソノギ__国立医学生の日常
深夜テンションで書きました。茶番に付き合ってくださり、どうもありがとう。
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